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誰でも使える交渉術! 『価格交渉』

交渉には様々な場面があり、TIPSがありますが、中でも『価格交渉』はビジネスで頻繁に行われるものでしょう。
今回は価格交渉の全体像をあらためて俯瞰してみることで、見方や思考を少し整理してみたいと思います。

まず、理想的な価格交渉のプロセスは、「準備からクロージングまで」のステップを踏むことが重要で、各段階で特定の交渉のコツを活用することで、交渉の成功率を高められます。以下は、価格交渉の流れとそれぞれの段階で役立つTIPSをご紹介します。こちらが製品またはサービスを提供する側だとした場合です。

1. 準備段階

  • TIP: 十分な情報収集

    • 交渉を成功させるためには、相手の会社や業界の動向、提供する商品の価値、コスト構造などを理解しておくことが不可欠です。

    • ZOPA(合意可能範囲)とBATNA(次善策)も事前に明確にしておくと、交渉中に柔軟な対応が可能になります。

  • TIP: 目標設定と計画の策定

    • 自社にとって理想的な価格と妥協可能な最低価格(下限)を明確にしておきます。これにより、相手の出方に応じて対応を柔軟に調整できます。

2. 交渉の開始

  • TIP: 信頼関係の構築

    • 価格交渉を始める前に、相手との信頼関係を築くことが大切です。相手がリラックスし、オープンに話せる環境を整えることで、お互いの立場を理解しやすくなります。

    • 挨拶や雑談などでリラックスした雰囲気を作り、共通点を見つけることが良い方法です。

  • TIP: アンカーリング効果の活用

    • 最初の提示価格は交渉の基準となる「アンカー(基準点)」を設定します。こちらの初期提示額が高ければ高いほど、最終価格も高めになる傾向があります。

    • ただし、無理に高い金額を提示しすぎると相手が興味を失う可能性があるため、相手の期待や市場相場を考慮して設定することがポイントです。

3. 価格の交渉・譲歩

  • TIP: 質問を通じて相手のニーズを探る

    • 価格交渉の場面で、相手に質問を投げかけ、価格以外の価値(納期、サービス、保証など)に焦点を当てることも交渉の幅を広げます。

    • 相手が何に重きを置いているのかを理解することで、価格以外の要素で合意を引き出せる場合もあります。

  • TIP: 小刻みな譲歩を行う

    • 交渉が進むにつれて少しずつ譲歩することで、相手に妥協している印象を与えつつ、希望する価格に近づける戦略です。

    • 小刻みな譲歩は交渉の途中での「限界感」を相手に伝え、これ以上の値下げが難しいという印象を与えるため、最終価格を確保しやすくなります。

4. クロージング

  • TIP: 明確な合意形成

    • 最終的な合意事項を明確に確認し、双方が誤解なく同意していることを確認します。具体的な価格や納期、条件を口頭で確認し、可能であれば書面にまとめるとよいです。

  • TIP: 追加オファーで価値をプラス

    • 価格での合意後、さらに小さなオファー(例えば、サポートの延長や次回の割引)を加えることで、交渉後も満足度を高められます。

5. 交渉後のフォローアップ

  • TIP: フォローアップのメールを送る

    • 交渉終了後にフォローアップメールを送り、合意内容の確認や今後の流れを示すことで、関係を円滑に保ち、長期的な信頼関係を築きます。

いずれも基本中の基本ですが、一旦、その流れをおさらいすることで、やることが見えてくるのではないでしょうか?

『価格交渉』で最も大事なことは何でしょう?
意見は様々でしょうが、特に価格交渉に慣れていない場合起こりがちなのは、金額に意識が集中しがちになることかもしれません。
価格以外の要素も交渉に取り入れることで、より柔軟で有利な交渉が可能になります。価格以外の項目も視野に入れると、相手の真のニーズに応じた提案ができ、交渉の幅が広がります。例えば次のようなことです。

1. 付加価値を示す

  • サービス内容:価格以外にも、アフターサービスやサポート体制、納期などを話題に含めることで、顧客に提供できる全体の価値を明確にします。

  • 保証やメンテナンス:長期的な保証やメンテナンスも、相手にとって大きな魅力となる場合があります。製品の耐久性やメンテナンスの手厚さを示すことで、価格以上の価値を感じてもらえます。

2. 取引の条件を調整する

  • 支払い条件:分割払いの許可や支払い期限の延長など、支払い条件の柔軟性を示すことで、価格以外の条件で相手の負担を軽減できます。特に、大きなプロジェクトや金額が大きい取引では支払い条件の交渉は重要です。

  • 数量や契約期間:例えば、長期契約や複数回の発注で割引を提供するなど、価格だけでなく契約条件を調整することで、お互いにメリットがある形を探れます。

3. 価格に関連しない部分での譲歩を示す

  • 価格以外の点で譲歩する姿勢を見せることで、全体の取引価値を引き上げられます。例えば、配送費用や梱包サービスを無償で提供するなど、金額に影響しない部分での価値を追加します。

  • こうすることで、相手も「この内容なら価格が少し高めでも価値がある」と感じることが多くなります。

4. 将来のビジネス機会を提案する

  • 今回の交渉を未来の取引に繋げるために、「長期的な協力関係を築きたい」という姿勢を示すことで、短期的な価格だけでなく、長期的な価値を共有できるようになります。

  • 「今後も何かとお手伝いできる」という言葉を伝え、次回の交渉に向けた柔軟性や優遇措置を示すと、価格以外の面での安心感を相手に与えます。

5. 信頼関係を重視する

  • 交渉においては、価格そのもの以上に相手との信頼関係も重要です。お互いに信頼を築けていれば、価格を含む諸条件においてもお互いが納得できる柔軟な対応が可能になります。

  • 特に、長期的なパートナーシップを目指す交渉では、信頼関係を築くことで、単発的な価格交渉では得られない付加価値が生まれます。

こうした「価格以外の要素」を交渉に組み込むことで、単なる値引き交渉ではなく、双方にとって有益な形での合意に近づくことができます。

ひとつひとつについて、おさらいすることでより良い交渉ができると思います。すなわち、やはり「交渉」に臨む場合は、「準備」が全てと言っても言い過ぎではありません。

そういえば先日、テレビの番組で、「家康が東海道のルートをどう決め、城などをどう配置したか」を紹介していました。戦国時代といえばドラマでは戦闘場面が強調されますが、それが始まる以前にほとんど勝敗を決するような準備は終わっていることが大事なのだなあ、と感じしさせられました。
交渉も、まさに同じですね。

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