中学・高校数学で身に着けてほしい力

拡大するAI社会

最近では毎日のようにAIやデータサイエンスのような言葉を聞くようになりました。データサイエンティストの需要が高まったことで、学校の教育方針もAI人材の育成に力を入れるようになりました。そんなニュースを見るたびに思うことがあったので記事にしました。

AIなどの技術がいずれ人間の能力を超えることで様々な問題が起こるだろう、という予想があります。それが2045年頃に起こると予想されているため、2045年問題といわれています。AIが人間の能力を上回った場合、人間の仕事はなくなってしまうのでしょうか。漠然とした不安もあると思います。

個人的な意見を言えば、私は人間の仕事はなくならないと思います。もちろん、AIにとって代わられる仕事もあるでしょう。それでも、すぐになくなるわけではないと思います。ただその分、AIには難しいような、複数の分野にわたる作業は増えるかもしれません。

AI社会で生き抜くための「数学力」

単純な作業が減り、機械的に処理できないような複雑な仕事が増えた社会で生き抜くにはどのような力をつければ良いか。

高校の学習指導要領の数学の節では、「数学的に考える資質・能力」を育てることを目標としています。学習指導要領はこちらからどうぞ。

私は、この数学的に考える資質・能力というのは「抽象化と具体化」のことだと考えています。この抽象化と具体化の能力こそが、中学・高校で身に着けてほしい能力です。

数学の特徴といえば、話が抽象的なところではないでしょうか。数学では、対象となるモノの本質を表現することをひとつのモチベーションとしています。本質を表現するというのは、多くの概念に共通する性質を抽出するということです。ちょうど、果物はどれも果樹(木)に生るという特徴がある、といった具合です。

この多くの概念に共通する性質を抽出することこそが抽象化です。

甘いものと辛いものは合う(個人差があります)とか、このタイプの風景はこう描くと映えるとか、なんでもいいんです。特徴を捉えることが、抽象化という数学力を発揮することになります。

特徴を知っていれば、それを別のものに応用することができます。味や色の組み合わせからその日の献立を考えることや、表現したい人物と心情から絵の構図と色使いを決めることがこれにあたります。経験を積んだ分野であるほど、当たり前のように行っていることだと思います。

このような、特徴をもとに形を決めることが具体化です。

赤は危険・要注意、青は安全といった色のイメージを利用して信号機の色を決定するのも、抽象化→具体化の流れだと思います。もはやその思考回路に高校数学は必要ではありません。大切なのは、自分にできることからこれらを実践することです。料理が得意なら料理で、絵が得意なら絵で、数学力を発揮することができると思います。

料理や絵、音楽やスポーツなど、もちろん勉強においても、経験から自然とそのパターンを覚え、知識として蓄えていきます。経験を積むと、パフォーマンスが向上します。さらに上達するために、練習し、研究するでしょう。このサイクルこそが抽象化と具体化の繰り返しだと思います。その分野でどれだけ力をつけられるか。そのカギを握るのは、抽象化による本質の追求と、具体化による実践、そしてそのフィードバックをどれだけこなしてきたかではないでしょうか。

まとめ

中学・高校数学で身に着けてほしいのは「抽象化と具体化」の能力。
抽象化は「特徴を抽出すること」。
具体化は「特徴から形を決めること」。

数式が苦手でも、自分の得意な範囲でこれを発揮できればいいんじゃないかなあと思います。数学を数学として使うのではなく、得意分野を伸ばすヒントとして考えればいいんです。ヒントを得て得意分野を伸ばせば、拡大するAI社会でも自分の生き方を考えることができると思います。

長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございました。

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