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北風は、太陽に勝てない。

根岸です。

カイロから少しだけ移動し、田舎にやってきた。山羊がウヨウヨしている。そんな場所にも商店はあって、僕は、ふと目に留まったガラス瓶屋に入った。ガラス便瓶は、エジプトの名産のひとつとして知られている。

ハマダ店長

店の第一印象は、怪しい占い師の館。入るやいなや店長らしき人物が近づいてきて、僕は店内の奥にあるソファーに通された。顔はおそろしく不細工で、綺麗なガラス細工の店と似合わない。お亀納豆の絵の女性を男にした感じだ。後ろに、ひょこっと助手みたいな奴もいる。

「ハマダですぅ。日本人にはハマダという名前の人がいっぱいいるだろ!!!!俺もHAMADAっていうんだ。だから仲間だろ!!!

近距離で叫んだあと、僕以外の唯一のお客(ヨーロッパの人かな?)のところに行った。商品を眺めているところに、どんどんガラス細工を持ってきて、手に持たせている。明らかに嫌がっている。それでも次から次へと渡そうとしていく。お客が、強制的に渡された商品を棚に戻すと、すぐさまハマダはそれを渡し返す。見事な押し売りだ。酷いまくし立て方であるがゆえに根負けする人もいそうだが、そのお客さんは比較的強かったんだろう、そそくさと店外に消え去ってしまった。

ハマダは「チェッ」と舌打ちするような顔をした。その仕草は明らかに「あいつに買わせることができなかったぜ、ちくしょー」だった。

なんか、変な店に入っちゃったな。

広告をつくってあげたよ

カモのお客を逃すと、今度は僕のところに来た。まぁ僕しかいないしね。押し売りがくるのかなと思ったが、ちょっと違った。

「なぁ、ここには日本人もくるんだよ。だから、壁に書いてくれないか。ここは激安で親切なお店だってことを、日本語でさ」

いやぁ、あんな押し売りと、その腹黒さを感じるリアクションをみせられたら、そんなのイヤだよ。でも、角が立つ言い方をしたら、僕が面倒になりそうだなぁ。。どうしようかな。。。

ちょっと考えたあと、ひらめいた。僕は、大きな紙に黒いペンで日本語を書き始めた。

「できたよ。これでばっちりだ」と伝えると、「本当か!センキューセンキュー、ありがとう!」とハマダは喜んだ。

セロテープで四方をしっかりとめながら、「これで落ちない。次、日本人がきたら、これを最初にみせるよ」と言いながら、紙を店内の目立つ場所に張り出した。

僕は、それから10分後には店をあとにした。次の日本人来店者が、「ぼったくりの店」という文字をみてどうなったかは、想像するだけで満足しよう、と思いながら。

仕事に活きている学び
嫌がられることをすると、いろんなものが離れていく。
喜ばれることをすれば、あとからリターンはついてくる。

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おまけ:儲かるかどうかはさておき、コロナを乗り切るための新たな経営手法を知ってもらいたい

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