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現代人になりきれない原始人は、ガリガリ君ナポリタン味を求めて狩りをする

変な味のお菓子、味が想像できない食べ物が好きだ。

ラムネ味のチョコ、ガリガリ君のナポリタン味……。
実際に食べてみると奇跡の組み合わせ!と出会いに嬉しくなるものもあるし、想像してた通りに合わなくてマズいものもザラにある。

ガリガリ君はコンポタ味が美味しくて好きだった。が、ナポリタン味は美味しくなくて赤城乳業としても3億の赤字を出したと社員が語っていた。

私が定価でとびついて買ったものが、のちにワゴンセールで投げ売りされているのを見るのはザラである。

それでも、私はなぜそういう変わり種の味を求めてしまうのか。
今回はそんな話をしようと思う。

やっと自分を理解した気になってきた、31歳の冬

ADHD(注意欠陥多動性障害)の特性を持つ私は、およそ30年の人生で自分をやっと把握できるようになってきた。

「変化のちょっとあるルーティンワーク」が性に合っている。
これはよくADHDに適した仕事として挙げられている営業やデザイナーのような、「毎回お客さんやニーズによって求められることがガラリと変わる仕事」じゃなくて、大枠はルーティンワークだけど短時間で完結する仕事の集合体。

しかも多少の試行錯誤で出来が毎回変わる、といったものがいい。

私が勤めている工場勤務を例に挙げてみよう。
機械で作られた個包装の商品の数を数えて袋に入れ計量する、そこで得られる結果はそう変わらない。
多少の工夫によって作業ひとつひとつのスピードは変わるかもしれないが、それほど工夫を挟めるものではない。
だから飽きてしまう。

対して、私が一日中同じ仕事をしていても苦にならない仕事といえば、
扱っている品物が天然の海産物で、形が均一でない。
それを見栄えがいいように整える過程で、いろんな試行錯誤ができる。
だから飽きないのだ。

もうひとつ、品物が袋に入った状態のものを機械でシーリングする(熱で封をする)作業。
入れる角度によってまっすぐシーリングされなかったり、袋の両端をピンと張らずに通すことでシワが寄ってしまったりする。
機械が古いのでその都度こちら側の調整が必要なのも相まって、毎回同じ出来になるわけではなく、奥が深いから退屈しない。

ASDもあるかと思ってたらガッツリADHDじゃないか、私

私は、この工場で勤務するまでは
コミュニケーションのとり方や好きな仕事の進め方においては、ASD的な側面も色濃いんではないかと自己分析していた。

よく言われる、毎日延々と工場で同じ業務だけを延々と続けてて発狂しそうになったというやつ。

私は幼い頃、丸や三角のシールを指示通りに貼って絵を描く、みたいな作業がとても好きで延々とやってても飽きなかったし、
ADHDにオススメな営業やデザイナーは出来る気がしなかった。

仕事においてASD特性が強いかも、と思ったのは、
「最終的にはこうなる、という結果が見えている」仕事がいいからなんだよね。

営業もデザインも、毎回お客様が違えばどういうものを求めているかが違う。同じお客様でも案件によって何をゴールとするかが変わる。

私の場合、そこにはワクワクよりも、「不安」が強く現れてしまう。

きっと、これまでの人生で「未知の状況」で戸惑い、恥をかき、怒られてきたことがトラウマになっている。

だから、大枠でいったらルーティンだけど、ミクロな視点でいうと試行錯誤の余地があり、変化があること。
今の仕事は偶然たどり着いた業務なんだけど、ぴったり合っていたのだった。

本当はもっとワクワクしたいんだ

ただ後天的にトラウマを抱えただけで、「未知の状況」「非日常」にワクワクを抱く性分はずっと色濃く残ってはいる。

本来は旅行に行くのが一番いいんだと思う。

高速バスやネカフェで夜を明かす、というのが非日常を感じて楽しいから、金銭的な面だけでなく新幹線よりあえて快適じゃないほうを選ぶ方がいいんだ。私は。

ただ旅行は現実的に考えて、頻繁に行けるものではない。
このご時世だとなおさら……

そこで日常にワクワクを求めた結果が、「食」だったのだなあと納得している。

仕事そのものは安心しながらやれる「ちょっと刺激のあるルーティンワーク」だけど、やっぱりもう少し刺激がほしい。

イチかバチか、「やっぱマズかったー!」「案外いけるじゃん!!(でも定番化することはなさそう)」とかそういう楽しみが、ヘンテコな味のお菓子にはあふれている。

また、私は「これが食べたいな」と思ったら片道30分、仕事終わりに歩いてまで食材をハントしないと気がすまない。

もちろん近場のスーパーどこにもない時には諦めるしかないけれど、以前サンマを買ってきて「これにかぼすとか添えてみたいな……」と思ってしまったら居ても立っても居られなくなって、スーパーをはしごするハメになってしまった。

これはさながら、獲物を求めて動き回る狩猟民族のようだ。
よくADHDは狩猟民族だったと言われるが、私はあふれ出る多動性を、飽食の時代においても食の獲得に使ってしまっている。

比較的得意とはいってもやはり無理して仕事はしてるので、毎日疲れているのだが……。
もちろん、あまりに疲れているときは食べたい衝動を家にあるもので我慢するときもあるけれど。

今日も多動性極まれり。

30代に突入したので、健康というものに改めて気をつけないといけない。

うちは糖尿病家系なのでお菓子の食べすぎには特に注意を払っていかなければならないが、
日常でちょっとずつ好奇心を摂取できる変な食べ物というのは、やめられないのだろうなと思っている。

今日は行きつけのコンビニで「食べたあとに酸っぱいものを食べると、甘く感じる」ミラクルフルーツが目に入った。
あの、テレビのバラエティーなんかでアイドルが一口食べたあとレモンをかじって「甘ーい!なんで!?」とかやってるやつだ。

日常に、ひとさじのスパイスを。
今日もワクワクが止まらない。

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