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現代雑誌研究の一番進んでいる場所

小宮京先生から、『史友』52号(特集・雑誌研究)、同53号(特集・雑誌『Olive』研究」ならびに「小特集 雑誌研究~『ゼクシィ』から『外交』まで」『青山史学』40号(2022年)をお送りいただいた。

関連論文の一覧は、小宮先生のnoteに

2020年前後から進められてきた小宮ゼミで勧められてきた雑誌研究の成果(『ゼクシィ』『nicola』『大航海』『Olive』など)についての成果。

特集・雑誌研究の冒頭で述べられている次のことがらには全くそうだなと膝を打った。すなわち、現代史の一次史料へのアクセスのしづらさ、学生の卒論での文化史への関心の高さについてである。私もゼミで卒論指導しながら常々感じているところだが、すでに学生を巻き込む形で以下の事をインタビューなども行いながら成果を挙げられていることに強く打たれた。ここが、いま現代雑誌研究の一番進んでいる場所だとも思った。

学生の指導にあたって、既往の雑誌研究を参照するなかで、未だに肥沃な研究の余地があると考えるようになった。とりわけ論壇誌ではない雑誌研究においては、史料の開拓が十分に行われているとはいえず、一次史料に基づいて議論する歴史学の手法を持ち込むことで、より正確な事実を明らかにするとともに、さらに深い示唆をえることができるのではないか

『史友』52号、2020年、p.116

全く同感である。また、そのなかで一次史料の欠落を埋めるものとして、オーラルを積極的に扱われているというのは非常に重要なことだと思った。

私などはこの点がうまくできず、未だに悩んでいるところがあるわけだが、『Olive』の読者モデル研究など、当事者でないとわからない部分も確実にあったと思われる。実際の成果を拝見し、関係者への聞き取り調査はぜひとも必要だなと、その思いを強くした。

方法論については難しい。私などは、例えば川井良介編『出版メディア入門』の雑誌の項で指摘されている雑誌のメディア特性に関する指摘は、自分が雑誌研究する際の参照軸としているところがある。

これは、良い本だと思う。それから最近日本出版学会が新たに『パブリッシングスタディーズ』という本を出したので、その雑誌論も少し組み入れた形で、方法論を模索していく必要があろう。


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