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小澤実・佐藤雄基編『史学科の比較史』

副題に「歴史学の制度化と近代日本」とある。

帝国大学から私学まで幅広く、史学科の在り方を検討されている。史学史の上でも、どういうカリキュラムが求められたのかということも、史料収集と各大学のスタイルということに関しても、示唆に富んでいる。

また、佐藤さんの論考では、以前リポジトリで公開されていた卒業論文の歴史も扱われていて、興味深かった。

「卒業論文題目からみた近代歴史学の歩み : 東京帝国大学国史学科1905-1944の事例報告」

卒業生の進路に図書館員が少なかったという指摘があって、ちょっと意外に感じたのだが、中等学校の教員に比べると少ないということだろう。史学の就職は良かったらしく、『赤門生活』のなかでも「文科のなかの政治家」のように扱われているのは、私も以前『官僚制の思想史』のなかの「法科と文科」を執筆した際に確認した。

なお、帝国図書館の司書官にもなった村島靖雄は、明治43年卒の西洋史の人である。

東京帝国大学一覧・大正元年

このほかにも図書館関係で史学科は数名いたような気がする。

また、群馬県立太田中学校長の三浦菊太郎は、私の母校の初代校長でもあると同時に、高山樗牛の親友の一人で、彼の背景についても詳しく知ることができた。

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