歴史総合の教科書に驚いた話
2022年度から高校で歴史総合の授業が始まった。関連書籍も多数発行されている。
大学で教えている身としても無関心ではいられないので、池袋三省堂で教科書を数種類買って読んでみた。
実際使って教えるという高校の現場の先生目線になるとまた違う目で評価せざるを得ないとは思うのだが、これを高校でやっているということになると現役大学生が驚くのではと思って、ゼミで話した。やっぱり、学生もちょっとびっくりしていた。
一部の教科書しか見ていないけれども、歴史を探究する際、テーマを設定すること、資料を集めること、インターネットも上手く使うこと、人に会って話を聞くこと、それを発表したりまとめたりすること、の手際が色々とまとめられている。
第一学習社の『高等学校歴史総合』などは、プレゼンの仕方まで含めてかなり気合いが入っている印象だったのだが、探究の手順をフローチャートにした上で、「探求を深めると、考えや疑問、課題が新たに更新されて、また探求がくり返されていく」(p.28)とか書いてある。
ここまで来ると、もうミニ卒論みたいだという感想をもってしまう。
これにあと研究史を整理し、自分の課題をどこに位置づけるかというプロセスや、史料批判についての詳しい検討が入ったら、大学の卒論になってしまうのでは・・・・と思った。
それは先行研究の整理自体がかなり大変だということでもあるのだが。歴史学で論文を書くという流れについて、高校でここまでやってくるということで、少し考えさせられた。同時にやりがいも感じるが。歴史叙述について、どういうことをこれから教えていけばよいのか、私自身も問われるのだろう。
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