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みちくさのしおり

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いただいた本や、仕事のために読んだ本、学生に勧めたい本を備忘のためにまとめています。
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2022年4月の記事一覧

昭和40年代に本の世界で変わったこと

昨年出た『東京古書組合百年史』の第一部で、鹿島茂氏が文明史的な観点からちょっと面白いこと…

negadaikon
2年前
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ピエール・バイヤール著、大浦康介訳『読んでいない本について堂々と語る方法』②

①の続き。 本との付き合い方に関していうと、自分が読書家だと思ったことはこれまでほとんど…

negadaikon
2年前
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茂木謙之介『SNS天皇論』

表象文化論を専門とする著者の作品。いろんな題材を扱っているが、本書の内容は次のようなもの…

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2年前

福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』

各所で話題のこれ。大学1年生向けの図書館の使い方の解説や司書課程の授業でやっぱり知ってお…

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2年前
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井川充雄『帝国をつなぐ<声>:日本植民地時代の台湾ラジオ』

昭和3年の御大典に際し、天皇が勅語を朗読する「玉音」を、台湾にいてラジオで聴くことは可能…

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2年前
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仙石和道『大熊信行と凍土社の地域文化運動』

池田先生から本書を受け取ったときには正直驚いた。 2019年に逝去された著者の遺稿を、池田先…

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2年前

松沢裕作『日本近代社会史』

松沢さんからいただいた。 講義録をベースにされたとのこと。こういう講義を聴ける学生さんたちが実に羨ましい。社会集団と市場の関係を主としながら、教育やメディアにも目配りされており、さらにメディアの全国化という流れのなかで、私の「誌友交際」論までを「自由民権運動期とは異なるメディアのあり方」(p.204)として丁寧に紹介いただいていて、恐縮しきり。 気になったことの一つ目は「社会史」というときの「社会」の捉え方に関して、松沢さんやっ同世代の研究者の間である特徴が共有されている

歴史学会編『歴史総合 世界と日本』

著者のお一人、三村さんからいただいた。 いまこの時期に歴史を学ぶこと、それを教えることに…

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2年前

伴野文亮、茂木謙之介『日本学の教科書』

茂木さんから。仕事量に圧倒される。 東北大学現代日本学研究室による日本学成立のマニフェス…

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2年前
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佐藤卓己『メディア論の名著30』

40代というのが研究者の人生にとってどういう意味を持つのか、一般化できるかはわからない。た…

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2年前
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留学生におすすめな日本史図説

学習まんがの話を書いたので、もう一つ、授業で特に留学生に勧めている高校学習参考書の日本史…

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2年前
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根本彰『アーカイブの思想』

根本先生から送っていただいた。 読み終えて思った最初のことは、「このようなテーマの本をい…

negadaikon
2年前
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「学習歴史まんが」はどれが良いのか?

たまたま見つけたのだが、素晴らしい企画で、杏さんの説明も、親が子供に買うということを想定…

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2年前
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山田徹、谷口雄太、木下竜馬、川口成人『鎌倉幕府と室町幕府』

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」時代考証担当でもある木下氏からいただいた。 かつて木下氏は「およそ研究史の整理とは、先行業績の単なる枚挙ではなく、先人がおかれた時代背景も踏まえつつ、彼らの認識の枠組みや盲点を掴み取ることである」(木下「鎌倉幕府の法と裁判へのまなざし」秋山哲雄, 田中大喜, 野口華世 編『増補改訂新版 日本中世史入門』(勉誠出版、2021年)p.202)と書いていた。1980年代生まれの執筆陣が集まって作られた本書は、木下氏以外もこの問題意識を共有されているよう