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coro’s note from 夢見る書店 「NEFNEの由来」

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。


「寝船?」
 僕は音だけ聞き取って頭に漢字だけがよぎった。

「違います。そんなにふざけている雑貨屋さんではないですよ。NEFNEは」
 そう大きな声で僕に声をかけてくれたのはそこで働くまめちゃんだった。確かに商品を見渡す限りではふざけているようには見えなかった。

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「このフリースペースで新しいものを見つけて欲しい。そう思って作った雑貨屋さんなんですから、寝るところにしてもらっては困ります。それに商品も一点限りのレアものばかり置いているのですよ!」

 僕の頭の中での「寝船」とは全く違っているようだった。寝屋川で新しいものを見つける。それが本来の「NEFNE」の意味のようだ。

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 二階にもギャラリーがあってそこでは色々な催し物が開かれることも多いそう。あまり「NEFNE」のことをしらない僕でもこの空間に入ると楽しい感覚、忘れていた子供心をくすぐるような感覚がやってくる。僕がたまたまこのお店に来たときは幾何学の展示がされていて、本当に不思議な空間に迷い込んだようだった。他にも俳句を詠んだり、ボードゲームを楽しんだり、工夫を凝らした店内のイベントごとも多いみたい。

 そんな僕もいつの間にか「NEFNE」の常連になっていた。初めは「寝船」と勘違いしていた僕だったけど、睡眠を取る場所じゃなくてお客さんを楽しませることに重点を置いた雑貨屋さんで僕はこのお店にやってくることで新しいもの見つけられたような気がした。

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「そのコンセプトがNEFNEの売りなんです!」
 誇らしげに語る店員さんたちはいつも心のゆとりを持って接客している。決して「寝る船」が出航している場所ではない。でも、ここはその言葉が少し意味を持つくらい安心して過ごせる空間だ。

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 今では僕も作家として少しブースを設けてもらったりしている。

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3周年記念冊子にも寄稿させてもらった。もし記念冊子を手に取られることがあったなら、合わせて読んでいただければ。とてもうれしい。そして、この文を読んでいただいたことにも感謝を。

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ネフネは「寝船」ではなく、いつまでも「新しいものを見つけられる」場所であり続けて欲しいと思う僕がそこにはいるのだった。


【今回の執筆担当者】
兼高貴也/1988年12月14日大阪府門真市生まれ。高校時代にケータイ小説ブームの中、執筆活動を開始。関西外国語大学スペイン語学科を卒業。大学一年時、著書である長編小説『突然変異~mutation~』を執筆。同時期において精神疾患である「双極性障害Ⅱ型」を発病。大学卒業後、自宅療養の傍ら作品を数多く執筆。インターネットを介して作品を公表し続け、連載時には小説サイトのランキング上位を獲得するなどの経歴を持つ。その他、小説のみならずオーディオドラマの脚本・監督・マンガ原案の作成・ボーカロイド曲の作詞など様々な分野でマルチに活動。
闘病生活を送りながら、執筆をし続けることで同じように苦しむ読者に「勇気」と「希望」を与えることを目標にしながら、「出来ないことはない」と語り続けることが最大の夢である。   
夢見る書店 本店
https://takaya-kanetaka-novels.jimdofree.com




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