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多重人格商店街 「透明な子供たち」

このくにには
餓死があります
暴行があります
貧困があります
尊厳の破壊があります
強制的な労働があります
知識を得る機会のない
想像力を奪われた
子供がいます

だからわたしは本日も
あなたやあなた
あなたとそれからあなたに会いに行くのです

透けて見えなくなって
誰にも見つけて貰えなかった
あなたに
わたしは泥臭く会いに行きます

できることは限られていて
偽善者にされることもあって
いつの間にか利権が絡まって
それでも探し出すの
わたしがそうすると決めたから
あなたに拒絶されようと
あなたに会いに行くと決めたから
見つけてお話をすると決めたから
虹色に輝いてほしいと望んだから

言えないことがあってつらかったね
自分を恥ずかしく思うのは涙が出てくるね
無知でいることは悔しいね
他の子にわかってもらえないのは苦しいね
お腹を少しでも満たそうと必死だったね
振り向いてほしいひとに振り向いてもらえなくて
悲しいよね
腹立たしいよね
勝手にうまれたわけではないのに
まるで勝手にうまれたことにされて
許せないよね
ハンデがあることをわかってもらえなくて
なんだか自分が悪い子のような
欲しがりなように思ってしまうのは
やるせないね

あなたへ
どうか健やかでいられるように
彩られたあなたになれるように
好きな色を纏えるように
誰かに認められなくても
あなたがあなたとしてここに立てるように

わたしは本日も探す
どこまでも
そうするのだと
決めたのだから


【今回の執筆担当者】
青嵐柘榴(あおあらし・ざくろ)/20代。人生の3分の2ほど思い出しだくないけれど、今は人との縁に恵まれました。偏りがすごい。柘榴は誕生石の柘榴石から。尖ったものからネチネチ系、ほのぼの、祈りまで色々書きたいです。本作りたい!

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