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多重人格商店街 「後悔を打ち砕いて」

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。

わたしの脳内を
後悔ばかりが埋め尽くす

そもそもこんな気持ちを抱くべきではなかったとか
そもそもこんな資格はないのだとか
口からはなった言葉が潔くわたしの口に戻ることはなく
あなたの鼓膜を揺さぶってしまった
神経が言葉の意味を伝える前に
遮ってしまいたかった
後悔ばかりが埋めつくす

あなたが背伸びをして
ふたたび後悔ばかりが埋め尽くす
あなたにさせるはずではなかったのに
なにもかも予定と違った
いや
この予定をたてたことこそ傲慢であり
恥なのだ

あなたがわたしの言葉に唇で応えるから
こんなはずではなかったと後悔ばかりが埋めつくす
大胆なあなたに押されて
予定が全て津波に攫われた

わたしから口づけを送るはずでした
もっと理想的な場面で伝えるべきはずでした
そもそもこんな容姿と性格の人間が伝えるべきではありませんでした
そんなわたしを真っ向から唇で否定して

ああだからあなたを選んだのだと
滑稽な計画などたてたのだと

後悔を打ち砕いて
あなたがわたしの手を握る


【今回の執筆担当者】
青嵐柘榴(あおあらし・ざくろ)/20代。人生の3分の2ほど思い出しだくないけれど、今は人との縁に恵まれました。偏りがすごい。柘榴は誕生石の柘榴石から。尖ったものからネチネチ系、ほのぼの、祈りまで色々書きたいです。本作りたい!


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