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coro’s note from 夢見る書店 「突然変異~mutation~」

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。

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2017年12月25日刊行(電子書籍¥440 文庫本¥1221)

兼高貴也処女作となる長編小説『突然変異~mutation~』です。

本格的なヒューマンドラマに浸りたい方、必見です!

【ここで少し、立ち読みで本編を公開です!】

一人の女性が研究室にこもり、パソコンを触っている。部屋の中は薬品のビンやフラスコ、試験管といった理科室を思い出させるような器具であふれている。

 彼女の名前は新山愛。科学者であり、整形外科医としての資格も持っている。年は二十五歳。キーボードのエンターキーを二回リズムよく叩き、彼女は声を上げた。

「できた! やっぱり私って天才だわ」

 声をあげると同時に立ち上がったので、着ていた白衣がひらひらと舞った。

 彼女は休む間もなく、試験管を持ち出し、紫色をした液体を試験管に注ぐ。そうして試験管立てに立てかけ、さらに試験管を用意する。今度は緑色の液体を注ぐ。初めの試験管にその液体を注ぎ、軽く振り始める。音を立てて爆発することもなく、穏やかに混ざっていく。彼女は納得の表情を見せながら、注射器を手に取ると、液体を吸引していく。適量採ると、試験管を立てかけて注射器を持って移動する。

 やってきた部屋は「実験室」と書かれていた。部屋の中には何十ものケージがあり、マウスが飼育されていた。その中の一匹を取り出して、注射器を当てる。マウスは鳴きながら彼女の手に掴まれている。彼女はマウスに濁った色の液体を注入し、足に印をつけた。

「うまくいってよ。理論上は完璧なんだから」

 そう呟いて、マウスをケージに戻し、実験室を後にした。

        *      *     *      *

 翌日、新山は実験室へやってきた。彼女は例の足に印がついたマウスを掴み、念入りに調べ始めた。マウスは鳴きもせず、静かだ。マウスの体中をじっくりと見てからこう言った。

「完璧! 理論通りだわ」

 研究室へ戻り、液体にするために溶かした粉末をカプセルに混合する。試作段階として同様のカプセルを四錠作ることにした。数時間後、カプセルは完成した。新山は出来上がったカプセルをカプセルケースに入れ、机の上に置いて研究室を後にした。彼女が研究室を出て行ってから数時間後、ある男が研究室へ入ってきた。

        *      *     *      *

いかがでしたでしょうか?

第一話の導入部分だけですが、立ち読みとして公開させていただきました。

本作は筆者の長編小説デビュー作です。累計売上部数は200部を突破している人気作となっています!筆者のヒューマンドラマの真骨頂を生み出した作品です。


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【兼高貴也さんのnoteへ】

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【今回の執筆担当者】
兼高貴也/1988年12月14日大阪府門真市生まれ。高校時代にケータイ小説ブームの中、執筆活動を開始。関西外国語大学スペイン語学科を卒業。大学一年時、著書である長編小説『突然変異~mutation~』を執筆。同時期において精神疾患である「双極性障害Ⅱ型」を発病。大学卒業後、自宅療養の傍ら作品を数多く執筆。インターネットを介して作品を公表し続け、連載時には小説サイトのランキング上位を獲得するなどの経歴を持つ。その他、小説のみならずオーディオドラマの脚本・監督・マンガ原案の作成・ボーカロイド曲の作詞など様々な分野でマルチに活動。
闘病生活を送りながら、執筆をし続けることで同じように苦しむ読者に「勇気」と「希望」を与えることを目標にしながら、「出来ないことはない」と語り続けることが最大の夢である。
夢見る書店 本店
https://takaya-kanetaka-novels.jimdofree.com

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