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喜多見柚について語るときに僕の語ること

こんにちは。喜多見柚担当Pの夏目です。

総選挙の時期がやってきましたね。それに合わせてというわけでもないのですが、喜多見柚の話をしようと思います。これまでもアイマスのアイドルの話はよくしてきましたが、担当の話をするのは勇気が要るもので、気が引き締まっています。担当外なら詳しくないからと言い訳できるのですが、担当ともなれば言い逃れの余地はありません。

柚についても遠巻きに言及したことはありますが、柚の話をするのは初めてです。ちょうど一年前くらいに、それこそ選挙期間に柚についての記事を書きましたが、正確には柚Pとして柚に対して抱く思いの話をしていたため、あれも本人を主題的に扱ったという感触ではありませんでした。ですので、今回は喜多見柚についての初めての記事です。

これから私が語ることは二次創作ではありません。というよりも、私には喜多見柚の二次創作を作ることができません。一つには絵や小説を満足に描けないという技量の問題もありますが、一番の理由としては、あくまで目の前の他人として向き合っているために、柚は外的な存在者であり、客観的に記述する以外にはしっくりこないというものになります。
しっくりこないというのは、自分が理解するその人の人物像に本人を従わせるのではなく、本人の立ち居振る舞いに応じてこちらの理解を更新していく方が、誠実に人格として相手と向き合っていることになるのではないかということです。
ややデリケート過ぎるとは思いますが、これが私なりに真摯な姿勢でアイドルに向き合うとはどのようなことかと数年考えてきた一つの形です。

ですので、以下に続く柚の話は、基本的に客観的な情報から直接読み取れる内容が主となります。言い換えれば、解釈(書いてないものを自分で補足していく作業)をほとんど行わずに話を展開するということです。そのため、柚Pさんをはじめ、柚にそれなりに触れたことのある方にとっては直感的に理解していることに話が限定されるかもしれません。
それでも、根拠を明示することや言語化することに価値はあると思っていますし、他のアイドルについて説得性をもたせて語る方法論として、いくらか参考になればいいなと、少しだけ、期待しています。
また、柚のことをあまり知らないという方には知的好奇心をくすぐる内容になっていると思います。ですがそれは、私の技量が優れているからというよりも、柚本人がそういった意外性を備えた子であるがゆえです。


基本情報

前置きが長くなりました。

内面的な部分について掘り下げていくことになりますが、まずは基本的な情報について少しさらっておいた方が良いかと思います。

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喜多見柚、埼玉出身の15歳です。学年については女子中学生という表記と高校生という表記もあり、ブレがあります。バドミントン部の副部長をしているので、個人的には中三の方がしっくり来るのですが、議論の余地がかなりあるので今回は触れません(*1)。
外見的な特徴といえば、前髪パッツン・フード・缶バッジ・スニーカーあたりでしょうか。これまでのSSRもスニーカーでしたが、限定SSR[フリータイムクリスマス]はヒールだったのが個人的には衝撃でした。(まぁ引けていないんですけどね)
フリルドスクエアが最も有名な所属ユニットで、営業コミュも2020年3月現在で2つ来ていて、限定SSRのイラストの特訓前にも揃っていました。(持ってないんですけどね)  他にも所属ユニットがあり、FWC(柚、原田美世、乙倉悠貴、藤原肇)なんかが個人的には好きだったりしています。
一人で街中を歩いていたときに声をかけられてアイドルになったのですが、以下のセリフからスカウトはクリスマスであるらしいということが知られています。「聖なる夜の奇跡って感じ?」「この聖夜にプロデューサーサンと会えたのは神様からの最高のプレゼントだと思うよっ!」など(*2)。
2019年の活躍としては、モバマスの方で新規カードのブルーミーヒロイン登場と人魚公演での主役をもらえました。デレステでは、年が変わった瞬間にカバー曲公開、未完成の歴史にキタキターズと名乗り登場、TAKAMARI☆CLIMAXXX!!!!!、新規限定SSR登場、ライブは幕張両日の参加でした。記憶に頼って列挙しているので漏れがあるとは思います。たくさん出番があって幸せでした。

*1 spring screaming イベントカードの特訓後演出にて「ただの女子中学生じゃなくて、アイドルだもんねっ♪」のセリフがある。また、久川颯の限定SSR登場時のシン劇ワイドにて、JCと言われており、柚もそこに含められていると見ることも可能である。他方、フリルドスクエアは「女子高生4人組」という紹介があるなど、それ以前の表記では女子高生であることがほのめかされていた。別サイトに詳しい。

*2 なお、クリスマスにPと出会っていることは明言されていない。上に挙げたセリフから聖夜に出会っているとも考えられるが、一人で歩いているところをスカウトし、その日のうちにアイドルになってスノーマンの衣装を着ていると考えるのは時系列的に無理があろうとも思われる。クリスマス当日か直前に出会っていることは違いないが、どちらの説も決定打に欠けている。なお、当日であれば「クリスマス当日に一人で街中を歩く女の子」と言えることから、柚に暗い影を見出す向きも少なくないが、結果的に大きな解釈を入れこむことになり、本稿の主旨を外れるため、今回は問題を提示するに止めておく。


さて、ようやく本題ですが、喜多見柚読解の基本線としては以下の三点を軸に話していけば概観できるようなつもりでいます。

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「楽しいことがしたい・裏方サポート役・本心を隠す」の三つです。ここに加えて普通の子であるというのもサブで加えたいのですが、これは個人的な好みです。テクスト読解をしていく上では余談になるのですが、せっかくなので自分の趣味とわかるようにしつつ、最後に話そうと思います。

●楽しいことがしたい

1点目の楽しいことがしたいですが、これは初期から一貫しています。例えば、デレステの喜多見柚メモリアル2では以下のような発言があります。

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「もっと楽しいことに向かって、動いていくようにするね。アタシにとって、それがすごく大事なことなんだ。」(デレステ個人メモリアル2)

メモリアル2は初レッスンの場面ですから、アイドルとしての経験を重ねる前からの柚の基盤であったことがわかります。他にも以下のようなセリフが認められます。

「楽しんでいこーよ。よく知らないけどそれが一番でしょ」(デレステN特訓後,固有セリフ)
「柚はアイドルじゃなくて、遊び相手だよ」(デレステ恒常SSR特訓後,固有セリフ)

デレぽではフリスクメンバーとともに自撮り写真を挙げていたこともあり、楽しいことがしたいという性格は随所に表れています。

一部根拠となるものを提示しましたが、この手のセリフは挙げればキリがありません。それゆえ、多くの人にとって喜多見柚の第一印象は「楽しい」を第一にする子ということになるのではないかと思います。
これだけ見れば、今が楽しければなんでもいいとでも言うような刹那主義的な雰囲気を感じます。上にあげたセリフにも「よく知らないけど」という一言を添えて、楽しむことを一番だと述べているあたり、ほとんど何も考えてないようにも見えるのですが、次の気遣いの鬼っていう要素が入ってくると急に評価が逆転するんですね。私はしました。


●裏方サポート役

2点目の裏方サポート役というところです。
これも初期から見受けられる特徴で、象徴的なのは副部長ということでしょうか。部長のようにみんなの前に出たり代表になったりすることはないですが、周囲を支える言動は、副部長という役職を与えられるくらいには評価されている、ということだと思います。

柚は基本的に前に出ずに周りを見てサポート役に徹する人です。サポート役は自称していますし、それを誇りに思っている節もあります。例えば以下のセリフなどが参考になります。

「サポート役なところ…アタシとプロデューサーサンって似てるかも」(デレステN特訓前,固有セリフ)
「バド部の副部長は聞き上手なのでーす♪お話カモンカモーン!」(デレステ限定SSR1特訓前,固有セリフ)

先ほども引いたメモリアルコミュ2においても「下がっていいの?(中略)でも、考えたらそっちのほうが得意かも。」と述べているように、前に出ずにまわりを引き立てるのが得意だと自覚しています。それどころか逆に、アイドルとして前面に出ている自分に驚くこともあります。(これについて根拠を見失ってしまいました。見つけたら追記します。)

「本心を見せない」という次の話題にも関わってくるのですが、主役には中々なりたがらない子なんですね。だからこそ、2019年9月の幕張のライブで柚が初センターを飾ったのが一大事で、武田羅梨沙多胡さんもそのことに言及されていました。柚に思い入れのある人間ならば比較的気づきやすい異例の事態だったわけですが、逆にある程度以上の思い入れがないと「センターをもらえたこと」ではなく「柚がセンターを受け入れたこと」の方に重大さがあると気づけないと思います。あの人は柚のこと本当に大事にしてくれてますから、ちゃんとこういうところまで理解してくれてるんだなと身にしみて分かります。感謝の念が絶えません。


さて、こうしたサポート役な性格は周りをよく見ているという風にも表れます。これも探せばキリがないんですが、例えばTAKAMARI☆CLIMAX!!!!!コミュOPでメンバーが「ひとり足りなくない?」と真っ先に気づくのが柚でした。

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「周りをよく見ている」ということの極めつけがモバマスのリフレッシュルーム「トリプル☆YOUの ご褒美タイム」なんですが、これすごくて。
姫川友紀のことを「ゆっきー」って呼んでるんですね。いくつも年上の相手なんですけど、これ多分、相手が呼ばれたい呼び方で呼んでるんですよ。前後で相葉夕美のことを夕美サンって呼んでるので、誰彼かまわずあだ名で呼んでるわけではないのでしょう。
ところが、その直後に来たTAKAMARI☆CLIMAX!!!!!の予告では、「友紀サン」と呼んでいるんです。これはもう意図してのことと見るべきでしょう。リフレッシュルームがプライベートな場面を垣間見ているのに対し、イベント予告はオフィシャルなものなので、公に向けて使える呼称を選んでいるわけです。ふざけているようで、実はかなり状況に合わせて言動を変えているのがよく表れています。ちなみにですが、このリフレッシュルームでも、柚の言動に注目するとこまめに相手に話題を振っているところなども見られます。贔屓目な気がしなくもないので詳しくは取り扱いませんでしたが、多分、ちゃんと盛り上がり具合を見つつ一緒に楽しんでいるのだろうと思われます。

図1

これは余談なのですが、デレぽ(2019-04-27)で美優さんが誤爆して愛海ちゃんスタンプを押した後に清良さんスタンプを押してるんですね。師匠がやらかした時にたしなめる棟方-柳の関係を知っているということで、ここでも周りをよく見ていて他人同士のつながりにも詳しいのかなと、ちょっとした長所を見出してしまいます。これも贔屓目かもしれませんが。


さて、続いては2019年5月17日のデレぽです。
写真だとサイズが大きくなってしまいますので、文字起こしにします。

綾瀬:銀のぴにゃこら太、4枚目が出ました。 #銀のぴにゃこら太
喜多見:スタンプ[棟方愛海]
喜多見:アレッ、なんかテンション低くない...?
綾瀬:またしばらく出なかったですし...
   このまま5枚目が揃わなかったら
   どうしようかと...。
工藤:ネガテイブにならない!
   アタシたちも協力するし。
綾瀬:ありがとうございます。
   でも、これ以上、みなさんを
   頼ってしまうわけには...。
桃井:あー、なんか、あずき、
   お菓子が食べたくなってきたなー♪
喜多見:ウンウン、柚もお腹が空いてきたー!
    お菓子屋さんまで柚ダーッシュ!
綾瀬:スタンプ[鷺沢文香]

これは銀のぴにゃを5枚集めるとぴにゃこら太グッズがもらえるお菓子の4枚目が当たった時のほのかちゃんの投稿です。この後、5枚目を他のフリスクメンバーで引き当ててこっそりロッカーに入れておくというサプライズを仕掛け、ほのかちゃんSSRが満を持して登場、フリスクP号泣って事件があったんですが、ここでもまた柚は、ほのかちゃんが元気のないことに、いの一番に気づいています。やはり、あっけらかんとして見えてかなり敏感なんですね。
ここで注目したいのが、自分では慰めていないということなんです。柚は誰かが落ち込んでいる時に一緒になって寄り添うようなことはしなくて、そういうのは誰かに任せてシリアスな雰囲気は茶化してしまうんですね。そういうのは、感情のダイレクトアタックが得意な桃井あずきなどの方が適任なのでしょう。他のデレぽ投稿でも茶化して慰めるのは他人任せにする様子が見て取れます。

「ウンウン。大作戦は、何度でも立ててみせる! あずきチャンが!」(2019-08-05)
「急募! 穂乃香チャンをなぐさめてあげる言葉!」(2018-12-14)

ここが掘り下げ甲斐のあるところです。もう少し柚の言動を見返しつつ、次のポイントに移りみましょう。

本心を見せない

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TAKAMARI☆CLIMAXXX!!!!!のコミュでは日菜子の妄想劇に付き合わされていたわけですが、それについて「ホントにドキドキしたよー!」「ホントはあーゆーの苦手なんだよね」などと言っています。一応、恋愛が「めんどくさそーって思っちゃって!」と弁明していますが、この最後の一言こそが自分の本心を吐露した後の誤魔化しと見ることができます。先ほども見たようにシリアスな雰囲気は茶化してしまうという性格ですし、恋愛がめんどくさそうだから苦手とは言えてもドキドキしたことの理由説明にはなっていません。やはり、柚お得意のごまかしと見るべきでしょう。
実際、TAKAMARIイベントSR(特訓前)の固有セリフで「恥ずかしい時ってすぐごまかしちゃうから......。」と自分で言っています。

他にもデレぽで、忍の家で恋愛映画鑑賞会をしていた回がありましたが、ここでも柚の茶化して本心を見せない性格がよく表れています。

「えーえー、こちら柚チャン。
室内には大変甘酸っぱく
気恥ずかしい空気が満ちております。」(2019-10-24)

紹介程度に抑えておきますが、柚の一人称は「アタシ」「柚」「柚チャン」など、ブレがあります。今回のように「柚チャン」を使っている場合、茶化したり照れ隠しをしていることが多いです。呼称と心情は比較的結びついていると思うので、柚の心情を察するうえでの参考になるかと思います。
さらにおまけで、これはもう脱線ですが、この直前で恋愛映画なら柚も飽きないと述べられており、掘り下げる余地が広すぎてこの日、めちゃめちゃに興奮していました。


話を戻します。柚は本心を見せないのですが、一見そうではなく見える場面があります。「ありがとー」を「わりといっつも言ってる気がする」「思ったこと言っちゃうほうだから」というalwaysコミュにおけるセリフです。
これは本心を見せないことの反例ではなく、むしろここにこそ柚のスタイルが表れていると考えられます。

ここからようやく若干の解釈を入れます。柚は、本心を意図的に隠しているわけではなく見せてもいい部分の方を明確に意識しているのではないでしょうか。その場合、自分の気持ちのなかでも、言っても良いこととできれば言いたくないこととの境界がはっきりしていることになります。
境界の外側のことは諦めがついていると言うか割り切っていて、内側のことも本当は別に言ってもいいような気はするけれども、できれば(言って良い方の)外側だけで完結したい。そういう心境です。茶化すとかもそういう、見せてもいい領域だけで、言ってもいい内容だけで、やり過ごす所作であると考えられます。下手に自分の中で線引きがはっきりしているせいで、つまり言っても良い部分「じゃない部分」を意識してしまっているから、ひた隠しにしたいわけじゃないけど、できるだけ内側部分は漏らさない方向でのらりくらりかわすように振る舞ってきたのではないか。
というのが柚の内面に関する僕の解釈です。


これまでに出たポイントを総合しつつ整理してみます。
柚にとっては、楽しいのが一番ということには変わりません。ですが、みんなが楽しんでいないと自分も楽しめないという子なんじゃないかなと思うんですね。そう言えるのは、柚が周りをよく見ているからです。誰かが落ち込んでることに誰よりも早く気づく子だから自分だけ勝手に楽しむことはできず、みんなで楽しもうとしたがるのだと思います。
ですが、落ち込んでいる人を前にしても自分が何かをすることは基本的にありません。人の悩みに真摯に向き合うには、自分も心の深い部分で交流する必要がありますが、柚本人が心の奥底を晒すことに慣れておらず、それが自分の極めて苦手とする分野であると分かっているからです。かと言って放っておくこともできませんから、茶化してその場をやり過ごしつつ周りに助けを求めるという対処を取ることになるのだと思います。

ここには載せませんが補足的に参考資料を紹介しておきますと、TAKAMARI の際の「シンデレラガールズ劇場わいど(134話)」のオチは、真面目すぎる雰囲気を察して茶化すという場面の典型になっていると思います。是非ご覧ください。


柚の魅力など。普通な子であるということ。

以上で、喜多見柚の性格の骨格は掴めたと思います。最初に示しておいたように、なるべく客観的な根拠をもとに無理のない推論で導けたと思います。

ここからは、個人的に喜多見柚の魅力だと思うところをピックアップして述べていきます。そのため、主観的な話にはなりますが、自分の妄想を都合よく入れたりはしないようにするという基本スタンスは守るつもりです。

柚の好きなところとして一番に挙げたいのは、普通でありながら、自分の魅力を伸ばしていこうとするところです。

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普通と特別という対比は私自身がかなり固執しているものなのですが、それは特別な存在にならねばならないという圧力や他と違うことによってしか価値を認められない風潮に否を突きつけたいからです。特別であることや一番であることは幸せと直結しないにも関わらず、そうしたものを求める向きは強く、この世のほとんど全てを占める普通の人の安寧を邪魔しているように見受けられます。ですが、無批判に周りと同調してしまうことも一つの不幸です。
だからこそ、特別を目指さず、普通でありながら自分らしく、そして何よりそうした成長を楽しめる喜多見柚という人物を、ある種完成されたロールモデルとして、まさに偶像のように崇めたくなるわけです。

これに関連して、特別なイベントよりも日常をこそ楽しめるという点も優れた特徴として挙げておきます。このことはアイドルを「もうひとつの部活」と呼ぶことに象徴されます。

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社会学者の宮台真司がその名を知らしめた著作に『終わりなき日常を生きろ』という本がありますが、そのタイトルに込められたメッセージの通り、死ぬまでずっと続く日常をどのように生きるか、ということが人生の重要な問題になってきます。この本はオウム真理教を分析したものですが、日常を営むことができず、非日常や「ここじゃないどこか」を目指さざるを得なかったことがオウム真理教の信者を増やす社会的基盤となってしまったということが書かれていました。たしか。(なお、この本は絶版になっていますが、宮台真司は後の本でもよく昔の研究に触れているため、興味があれば最近の本でも足りる可能性は高いです。)
もう少し脱線を続けますが、同じくオウム真理教の元信者を村上春樹が取材した『約束された場所で underground2』という本で、元信者たちは頻繁に「一般の方」という語を使うと指摘されていました。私が普通という語に敏感に反応するようになったきっかけです。

なぜこんな話を持ち出したかというと、非日常や「ここじゃないどこか」などの存在しないものにすがる脆弱さに対して、日常に立脚できることは地味な見た目に反して、ものすごい強さであるということを言いたかったわけです。
そしてこの意味で喜多見柚はものすごく強いです。柚は別に一芸に秀でているとか、道ゆく人々が振り返ってしまうほどの容姿でもありません。(担当Pの目からしたらダントツ一番かわいいのではあるのですけれども...)
付随する性質の特別さによって幸せやアイドル活動が支えられているのではなく、日常を楽しめるということの凄まじさ。そして、そのことに他人を巻き込めるということの凄まじさ。
私が喜多見柚の魅力と思うのは、普通なまま輝いているというところです。


最初の方に、柚は目立ちたがらないから、センターを受け入れたことが実は一大事なのだ、というような話をしました。
柚は周りを引き立てながらみんなで日常を楽しむということで、かなりバランスをとれていますから、わざわざ自分らしさを崩して目立つようなことをしたがらないのだと思います。センターを目指さないのは、努力の放棄ではなく、柚の成長の道行きにそれがそぐわないからです。私はプロデューサーであるとともにファンでもあるので、一番目立つところにいる柚を見ていたいのですが、柚の性格を考えると「らしくない」ことをさせていることも分かるので、難しいところです。

喜多見柚はとても難しい子です。今述べたプロデュースの方向性としての難しさもありますし、本心を見せないという難しさもあります。本心を見せないわりに上手くやっている、というのが一層難しくしています。
ですが、こうした諸々の難しさが、かえって人間らしさを感じさせますし、自分の方が教えられることもしばしばで、そうした日々が喜多見柚への愛着を強めています。

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