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こんな面倒なことは、誰も滅多に書いてはくれない

 ウィッシュリストよりご恵贈いただいた、『アスペルガーの男性が女性について知っておきたいこと』を読んでいた。

 まだ最後までは読んでいないものの、いまのところは「これこれ、こういうのでいいんだよ」という感じでたいへんよい。

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 たとえばこのようにAS(これは本書の冒頭に周到に注記されているとおり、Asperger Syndromeと Autism Spectrumのいずれの意味に理解してもよい)男性の困難について適切かつ率直な理解を示した後に、単に「だからよく観察するようにしてください」といった、一般的で抽象的な(ゆえに実際に困難を抱えている者にとっては役に立たない)「指導」や「助言」をするのではなくて、

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上記のような実に明確な判断基準とともに「何をすれば(見れば)よいか」ということを、たいへん具体的にいちいち示してくれているわけである。もちろん著者自身も繰り返し注意しているとおり、人間の個性も男女関係も千差万別なのは当然だから、このような指針はあくまで一つの参考としてのみ受け取られるべきなのは言うまでもないことだ。だが、そのような「一つの参考」としての観察や行動の言わば「最初の手がかり」さえ、この種の問題の当事者たちには(少なくともこのように具体的な形では)与えられないことがしばしばなのである。実際のところ私自身にはもはやこうした書籍は必要ではないけれども、本書によって多少なりとも救われる可能性のある人たちは、日本にもまだまだたくさんいるのではないかと思わされた。

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