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想像力は「気持ちの問題」ではなくて、その本性として知的なものだ

 ある対象に向けた表現を自ら作成して公開したのに、その対象の層が当該の表現物を見てどのように感じるのかということを、全く想像できていないらしい人を見かけてびっくりしつつ、ちょっとかわいそうにも感じてしまった。

 一般に「相手のことを想像しなさい」などといわれる際には、「相手の気持ちを想像すること」が思い浮かべられることがしばしばであるから、想像力というのは基本的に「気持ち」の領域のものであって、感情が豊かな人ほど想像力も豊かであると、考えているらしい人々も時には見かける。だが、実のところ想像力というのはその本性上、高度に知的・理性的なものなのであって、そのことを学べないまま成年に達して社会において「大人」扱いされるということは、わりと不幸な事態なのではないかと思う。

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