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すみれをただすみれとして

 昨日一昨日と岡潔さんの「ヤバすごさ」について書いてきたわけだけれども、そんな岡さんの著作がここ数年のあいだに様々な形で次々と復刊されているということは、やはりそれなりの数の愛読者が現代にもいるということなのだろう。ただ、彼のテクストが現代日本の新しい読者たちにどのように受容されているのかということについては、このところずっと東南アジアにいるせいもあって、私にはよくわからない。素朴かつ率直な感想を述べるならば、丁寧な読書の対象とした場合、岡さんのテクストというのは多くの読者にとって必ずしも「わかりやすい」ものではないと思うのだが、ひょっとしたらほとんどの人は私のように鈍ではなくて、最初から彼の文章を「画を見る」ような仕方で読んでおり、そういう方々にとって岡さんの言わんとするところを理解することは、さほどに難しいことではないのかもしれない。

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