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善友はあらまほしきもの

 三月に入ってしばらくは日々の雑事にエネルギーを取られすぎて消耗しがちだったのだが、例によってジョギングをしたり凄い作家のドキュメンタリーを見たりなどしているうちに、徐々に回復してきた気配がある。

 これは人によって感じ方の異なるところであろうと思うが、日々の雑事を大切に行い「丁寧な生活」を送るということの価値を私は否定するわけではないけれども、そうした雑事が日常のほとんどを占めてしまってその外部からのインスピレーションを感じ取りにくい仕儀となると、どうも個人的には息苦しさを感じてしまう。だからジョギングや力のある作品の鑑賞といった「その日にやる必要はとくにないこと」を私は定期的に行って、眼前のものだけを「世界」や「現実」だと思いなそうとする観念の力から、できるだけ距離をとるようにしているのである。

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