「そんなわけで日本はもうだめです」の一歩手前で

 沼田牧師が紹介されていた下掲の記事を読んだのだが、まあなかなかしんどい内容であった。言うまでもないことだが、「昔はこんなに酷いことがあったんだなあ」というしんどさではなくて、「現在の日本でも、基本的には全く同じ構造が温存されているなあ」と感じてのしんどさである。

つい昨日まで、積極的に軍人をもてはやし、戦争の後押しをしてきた新聞やラジオが、掌を返して、あたかも前々から戦争に反対であったかのような報道をする。周囲の人間を見ても、戦争中、威勢のいいことを言っていたものほど、その変節ぶりが著しい。

批判する相手(=陸海軍)が消滅して、身に危険のおよぶ心配がなくなってからの軍部批判の大合唱は、進藤さんには、時流におもねる卑怯な自己保身の術としか思えなかった。「卑怯者」は、いわゆる「進歩的文化人」や「戦後民主主義者」と呼ばれる者のなかに多くいて、敗戦にうちひしがれた世相に乗って世論をリードしていた。

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