今日、早朝のこと
早朝、ハウスメイトが国に帰ったらしい。
4時30分に家を出たと、ホストマザーから聞いた。
私は驚いた。
確かに、4時頃にホストマザーが起きだすのを聞いて、「今日はやけに早いな」と不思議に思った。
確かに、ホストマザーが起きてから30分後、ドアベルが鳴って、「こんな朝早くに誰だろう」と怪訝に思った。
昨日の夜、ホストマザーが私の部屋に来て、「コミュニティカレッジってTOEFL必要だった?」と聞いてきたから、私は当たり前のように、ハウスメイトは少なくともあとちょっとはアメリカに滞在するのだと思っていた。
これで、この家にいる留学生は私一人になる。
別に仲が良いわけではなかった。
話すこともあまりなかったし、顔をあわせることすらほとんどなかった。
彼女が言語学校で何をしているのか、友達はいるのか、何も聞かなかった。
彼女の性格はおそらく、私の性格と合ってはいなかったのだとは思う。
どちらかというと、苦手なタイプだった。
そんな彼女は、今日の早朝に家を出て、今はもうバンクーバーを離れたらしい。
お別れの挨拶もできなかった。朝、起き出していれば、ホストマザーが起こしに来てくれれば、せめて昨日のうちに彼女が旅立つことを聞いていれば、挨拶くらい、できたのかもしれない。
それに、ああ、彼女、クレームブリュレを食べずに行っちゃった。
私が食べちゃうしかないじゃないか。大好きなのに。
これで、この家に住むのは、ホストファミリーを除いて私一人となる。
この前まで2年ほど、ずっと一緒に住んでいた昔のハウスメイトは、今はもう結婚をして、私が日本にいる間に家を出て行ってしまった。
私が日本にいる間にホストファミリーが、ハウスメイトが家を出たことを伝えると共に、「留学生を取りたい?」と聞いてくれたことを思い出す。
彼らが、私の大学卒業を境に引越しを考えていることは知っていた。
「もう留学生をとるのはやめにしようか」と話しているのを知っていた。
だけど私は、家の中で唯一の子どもになるのが嫌で、留学生を強請ったのだ。
これからどうなるのだろう。
もう彼らは、留学生は取らないのだろうか。
私は彼らの、最後の子どもになってしまうのだろうか。
環境が変わっていく。
私が大学を出たら、大きく変わってしまう環境が、それでも今も、確かに少しずつ変わっていく。
大学の友人はこれからどんどん卒業していくし、ホストファミリーといられるのはあと半年とちょっと。
それまでの時間を、私はどう過ごそうか。
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