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AURORA写真塾 ダイジェスト 2022.06 テーブルフォト フレーミングの秘密

毎月1回、NHK文化センターにて開催しているオンライン講座『AURORA写真塾』について、どんな内容なのか時々問い合わせをいただくことがあるので、ダイジェストとして少し紹介していこうと思います。

6月は構図について。私の構図感覚のベースになっているのが絵画の構図。5歳から絵を習っていて、美術館巡りをしたり画集を見たりと、名画に触れる機会が多かったため、その中で自然に身についたものが今に生かされていると感じています。

テーブルフォトで使いやすい構図については、これまで色々なところで解説しているので省略します。(気になる方はこちらの本を参考にしてみてください。)今回はフレーミングのポイントについて少しだけ紹介します。

この写真を見てみてください。どんなセオリーが隠されているか分かりますか。

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フレーミングを考える上で切り離せないのが余白感。余白について意識すべきことは、そのフレームの中で、いかに余白を自然に埋めるかということなのではないかと思います。程良い余白感は、構図のルールを意識すれば、自然と作ることができます。例えば、高さのあるものは横位置で撮る場合、余程広い画角で撮らないと、上下は収まらず、左右が空きすぎてバランスが悪くなります。

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△縦長の被写体を横構図で撮影。上下の余白が少ない。

例えばこの写真は、左右は余白がありますが、上下はほとんどありません。(※比較写真は全て焦点距離100mmの単焦点レンズで撮影。)
よく分からないという方は次の写真を見てください。ボトルだけの方が余白が極端なのでより分かりやすいと思います。余白部分に文字などを配置する場合は良いかもしれませんが、このままではアンバランスです。特に背景がシンプルなほど余白感は誤魔化しにくいと思います。

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△より分かりやすい例。余白感が適切でない。

もっと広い画角で撮れば上下にも余白ができますが、かなり引いて撮らないとバランスよく見せるのは難しいです。広い画角にするということは、それだけ被写体も小さく写ることになります。同じ画角のまま、被写体のサイズを変えずにバランス良く撮りたい場合には、縦構図で撮影します。
次の写真は、同じボトルを同じ距離から、縦構図に変更して撮影した例です。縦長のものは縦構図で撮影した方が余白のバランスが程良くなります。

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○同じ撮影距離のまま縦構図にした例。余白感が自然に。

ちなみに横構図に場合は、どれくらい引いて撮れば余白のバランスが適切になるか試してみました。個人的には、少なくとも下の写真くらいの余白は必要かなと思います。

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横構図のまま適切な余白感にするには、広い画角で撮る必要がある

これでもNGではないと思いますが、私だったらこのように余白を取ります。一つ前の写真と撮影距離は同じですが、上に少し広めに余白を設け、下寄りに被写体を配置しました。

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○上に少し広めに余白を設け、下寄りに被写体を配置した例

もう一枚見てください。今度は逆に下を広く開けました。

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△下に余白を設け、上寄りに被写体を配置した例

あくまで私が個人的に感じていることなので、参考の一つとして留めていただけたらと思いますが、私はこれには違和感を感じます。テーブルフォトというのは基本的にテーブルの上にあるものを撮影します。テーブルの上の被写体を撮る場合は、上部よりも下部を空けると、重力に逆らって浮いて見え、不自然に感じるのかもしれません。中央に配置しても良いですが、私は下寄りに配置するのが好きです。重力を考えると被写体は下に置いてあっても自然に見えますし、上が少し広く空いていることで圧迫感を感じにくいと思うからです。
アングルや背景など、条件によっては下が空いていても不自然に見えないこともありますし、その方が良い場合もあると思います。表現は自由なので、あえて違和感を求めてみたり、ラフさを作って日常感を演出したり、と色々あると思いますが、シンプルに商品写真を撮影する場合には違和感を排除した方が魅力が伝わりやすいと思います。

改めて最初の一枚を見てみましょう。

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縦長のボトルを縦構図で撮影した作例でした。被写体は中央よりも下寄りに配置して上を少し広めに空けています。この写真には他にも構図のポイントが隠されています。何だか分かりますか?気になる方、もっとポイントを知りたいという方はぜひAURORA写真塾へ。今回ご紹介したのは、6月の講座でお話ししたことのほんの一例です。講座では、私ならではの視点で、一般的なマニュアル本にはあまり載っていないようなことをお伝えしています。ご興味のある方はぜひこちらからご参加お待ちしております。



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