嘘つきさんへ

あの、とんでもなく無色に近い冬の日にメリーゴーランドに乗りましたね。本当は馬車の方に座りたかったのに、写真係のあの人が「馬に馬に、白い馬に!」と力を込めて熱く訴えかけるので、その後のお昼ご飯を楽しく食べたい私は、ついにあなたのリクエストを受け入れてしまいました。

置いてけぼりになった悲しい人の心の中のような音楽が流れ出すと、馬も馬車も円を描くように動き出します。動くたびに馬が震えて、私は恐怖を満喫しなくてはいけません。グルっと回って、またあなたが見えます。私を見て手を振っている。私は明るく手を振るような心境ではありませんでしたが、作り笑顔と共に手を振りました。グルっと回って、またあなたが見えます。あなたが見えたのは3回でしたね。私達は何をしているのだろう。この時間には本当のことが何もないのに。切り取られてプリントされた写真を見て、それが一体なんなのだろう。この日は誰のものなのだろう。独り占めする気はないのだけれど。嘘つきと嘘つきは嘘つきなだけ。

低気圧の日の、悪い過ごし方のようなこのお手紙をお許しください。

ああそうだ、近いうちに借りた傘を返しに伺います。

少しブルーな、ねこより。

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