小松真弓監督 『もち』

一関には一度だけ行ったことがある。くりこま高原にある知人の別荘に行った折、車でのんびり戻りたい人と新幹線を使ってなるべく早く帰京したい人に分かれた時、早帰りチームの一人が「せっかくだから冷麺を食べて行こう」と言うので立ち寄った。

映画『もち』は14歳の少女と祖父の関係を軸に、祖母、親友、想いを寄せているその兄との様々な別れを描いた作品である。それぞれの別れに「もち」がいろいろな姿となって関わる。

舞台となる本寺地区は一関の中心地から18km離れた集落。かつては「骨寺村(ほねでらむら)」と呼ばれる平泉・中尊寺の荘園だった。ちょっとおどろおどろしい名前の由来は都から来た高僧のドクロが村の娘にお経を教えたという(ありがたい)伝説から来ている。

そもそもこの作品は広告映像をあまた作ってきた小松真弓監督が一関のもち文化を紹介するPVのオファーを受けたことが始まりだったという。取材を重ねていくうち、主人公となるユナ(白桃のようにみずみずしい!)たちと出会い、1分程度の映像作品が60分の映画に化けた。ここで描かれる一関の民俗は本寺地区で行われているものだけではない。小松監督は、古老からの聞き取りの中から「忘れさせたくないもの」を掬い上げ、巧みにノンフィクションの裏側に編み込んだ。

ちなみに冒頭の冷麺であるが、あらめて店を調べたところ、有名な盛岡冷麺ではなく一般的な冷麺であった。今のようにネットの情報が充実していなかった時代だとはいえ、なぜ一関に行ったのか、言い出しっぺの友人と疎遠になった現在、もはやわからない。

一関のもち料理の多さは全国一を誇るという。2006年に「一関もち文化研究会」が発足して以来、提供する店も増えているという。今、一関で食べるべきは“冷麺”ではなく「もち」と言えそうだ。

一関の写真を探したが見つからなかった。なので先日蒲田で食べた冷麺の写真を貼っておく。
のぼりは盛岡冷麺だったがこちらもスタンダードな平壌冷麺のようだ。

ここからは蛇足、にょろ。そういえば近頃は私はもちをついたことがあるだろうかと考えたところ、3年前に渋谷で餅つきをしたことを思い出した。

搬入前後の餅つきセット。一見アウトドアグッズのようにまとめられている。

これは基本のずんだだが、トリュフ塩やエジプト塩などいろいろかけて楽しんだ。
ちなみに私的に優勝は山形のだし。
もちパー、アリなんじゃなんかと思います。

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