恋歌。「エモい」で済むなら31文字も要らない/ある歌人神官がみた明治(11)
明治29年は、葦の舎あるじにとって恋の年だった。のだと思う。恋歌が突出して多い。逢いたいのに逢えなくて、思いをつのらせる青年の歌だ。
思わないようにしようとすると、かえって忘れられない
明治29年に詠んだと思われる53首のうち、17首が恋歌である。明治30年は1首のみ、明治31年は64首中12首、33年に至っては1首もない。※『随感録』は32年の歌が存在しない。
怒涛の連作。逢いたい、逢いたい、逢えない。君のことばかり考えてしまう。どストレートに思いのたけがこもった