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生活保護のしおり #1

桐生市の件について

群馬県桐生市における生活保護関連の違法行為と職員による非道な水際作戦のニュースにはとてもショックだった。
う~ん・・・でもショックというよりも、「この人たちは愚か者なんだな」という軽蔑のほうが大きいかな。

職場であったら確実に偏見差別でありパワハラだと指摘されることを、市民に対してあからさまに行なっている。
さらに、公金について違法な扱いをしており、おそらくそれを正義だと勘違いしている。
自分たちは法を犯してもいい立場だと思っていたのだろうか。

生活保護を申請しにきた市民に対し、5人がかりで怒鳴りつけたりしていたらしい。
周囲には他の職員のほか市民もいたであろう。
場所をわきまえることなく市民を大声で恫喝するなんて、そもそも人として劣っていると私は思う。

そのような福祉課の異常な環境も、長くいることで普通になってしまうのかもしれない。
一種の洗脳である。
これまで職員の中から通報するひとはいなかったのだろうか。
もしいなかったのなら、桐生市にはまともな職員がいなかったということになる。
第三者から異様で違法な事態であることを指摘され、メディアで公に明かされたいま、生活保護を担当していた職員たちはどう思っているのだろう。
異常だったのだと自覚できたのだろうか。
それとも、いまだに自分たちは正当だと思っているのだろうか。


「生活保護は本当に困っているひとだけに受けてほしい」
という言葉をよく目耳にする。
「本当に困っているひと」って具体的にどうゆうひとをイメージしているのだろう?

「自分たちが働いて納めた税金で食べようなんて!」
という意見もよく目耳にする。
生活保護を申請するひとも、それまでは働いて納税していたと思いますけど。
ちなみに私は頑張って働いて納税していましたよ。
初めて某市の福祉課に相談に行ったときは、なぜか、これまで一度も働いたことがないひとだと勝手に決めつけられていたけどね。
通された部屋に入って最初の一言が「生活保護費は税金ですよ!」だった。
「はい、知ってますよ。あなたのお給料が税金であることも知っています」と心の中でつぶやいた。


私は、一度納めた税金、つまり自分の手元から離れていったお金に対して、それは自分のものだという感覚がない。
実際、自分のものではなく、国や自治体のものになったのだ。
たしかに元をたどれば自分のお金である。
しかし、手元を離れたら〈自分のお金〉という認識はないため、自分のお金が他人の生活費として使われているという感覚はない。
しかし、そうゆうふうに考えて受給者を責める意見はよく見る。

この社会には無知がはびこっている。


人間て、攻撃してもいい敵がいると生き生きする生き物らしいですよ。
やっつけてやろうと、エネルギーが活発になるのです。
そして為政者は、その習性を利用して政治を行なったりすることも。




さて、桐生市がある群馬県はこれを機に〈生活保護のしおり〉を改訂したらしい。

経済的自立を目指すことだけを強調せず、働けない人にも配慮して日常生活や社会生活の自立を支援すると明記。同市で支給が少なかったとされる通院時の交通費など条件を満たせば支給対象となるケースを追加した。

しおりでは支援の目的について、改訂前は「一日も早く自分たちの力で暮らしていけるように」などと説明していたが、高齢者や障害者への配慮が不足しているとの指摘を受けたという。このため「自立した生活が送れるよう支援する制度」と改訂。自立について健康など「日常生活」、地域とつながる「社会生活」、就労する「経済的」の三つを挙げ、「利用者に合わせた支援を行う」とした。

上毛新聞より

高齢者や障害者に配慮されていなかったなんてひどいわぁ~。

桐生市では医療機関に通院する交通費「通院移送費」の2022年度の支給が8件計2400円で、「他市に比べ異常に低い」と指摘。しおりには支給できる対象に明記されていなかったため、加筆した。住宅の敷金や高校のクラブ活動費なども新たに加えた。

上毛新聞より

2400円って・・・
介護タクシーは運賃がだいぶ高いようだけど、それを使わざるを得ないひとはいただろう。
生活扶助費から出していたのだろうか。
その場合、生活費がかなり圧迫されて、とても大変だと思う。



さて、私は生活保護受給者である。
いま住んでいる自治体では水際作戦など無く、最初から最後まで親切に対応していただいた。

(自治体によって対応が異なるってヘンな話だけどねぇ~)

参考までに、埼玉県の〈生活保護のしおり〉など、いくつか資料を載せておきます。
量が多いので、いくつかに分けて掲載します。


彩の国 埼玉県 生活保護のしおりの表紙
藁半紙に印刷されている
なつかしい手触り

生活保護のしおりの内容

私の手元にあるしおりは平成28年12月に作成されたものである。


◆生活保護とは

生活しているうちに病気やケガにより働けなくなったり、働き手が死亡したりして生活に困ることがあります。
生活保護は、このように生活に困っている方に対して、国民の生存権の保障を規定した憲法第25条の理念に基づき、最低限度の生活を保障するとともに、御自身で生活を支えられるように支援することを目的とした制度です。
この制度は、生活保護法(以下「法」という。)に基づいて行われます。

〈日本国憲法第25条〉
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
〈生活保護法第1条〉
この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。


◆保護の種類と内容

保護には、次の8種類の扶助(援助)があります。

1)生活扶助
毎日の生活に必要な食費や光熱水費などの費用です。
2)教育扶助
義務教育に伴って必要な学用品代、給食費などの費用です。
3)住宅扶助
家賃、地代又は住宅の修理費などの費用です。
4)医療扶助
病気やけがなどをした場合の医療に必要な費用です。
5)介護扶助
介護サービスが必要な場合の費用です。
6)出産扶助
出産に要する費用です。
7)生業扶助
高等学校等への就学費用や技術を身に付けるための費用、就職準備などの費用です。
8)葬祭扶助
葬儀などに要する費用です。

※このほか、安定した職業に就いたこと等により、保護を必要としなくなった方に対して、「就労自立給付金」を支給する制度があります。
支給には一定の条件があります。詳しくは福祉事務所(ケースワーカー)にお尋ねください。

※次のようなときは必要な費用の全部又は一部を支給できる場合(「一時扶助」といいます。)があります。それぞれ一定の条件がありますので、事前に福祉事務所(ケースワーカー)に相談してください。

  • 借家、借間の契約更新時に、契約更新料や火災保険料などが必要なとき。

  • 病気等のため、おむつなどを必要とするとき。

  • 住居のない方が新たにアパートを借りる際などに、炊事用具や食器などが必要と認められるとき。

  • やむを得ず転居するとき。

  • 身内の葬儀に行くとき。

  • 職を探したり、施設に通ったりするとき。


イカ耳:身内の葬儀に行くときも支給してもらえるってことは、喪服を買う費用や香典の費用を支給してもらえるということなのかなぁ?
まだ利用したことがないので詳細はわからないですが、たぶん金額には上限があると思います。


◆保護の決め方等

保護は原則として、世帯(暮らしをともにしている家族)を単位として、その世帯の最低生活費の額と世帯全員の収入額を比較し、不足する場合に保護が決定され、その不足する額が保護費として支給される仕組みになっています。

【最低生活費】その世帯の人数、年齢、健康状態、住んでいる地域などを基に国が定めた基準により計算された1か月分の生活費です。
なお、月によって変わる場合があります。

【収入】働いて得た収入、年金・手当など他の法律等により支給される金銭、親や兄弟姉妹などからの仕送り援助、資産を貸したり売ったりして得た収入など、世帯員全員の収入を合計したものです。


イカ耳:つまり、収入が、国が定めた最低生活費に満たなければ、その不足分が保護費として支給されますよ、ということです。
ちなみに、障害年金は収入となります。
「生活保護+障害年金で優雅に暮らしている」というような意見をネットで見ることがありますけど、それは誤り。
生活保護費にプラスして障害年金を受給するということはありません。
年金分は収入として、しっかり保護費から引かれます。




長くなりましたので、今回はここまで。
次回は、

  • 生活保護の開始決定

  • 保護の要件

  • 保護を受けている方の義務

などについて投稿しようと思います。

→ 続きはこちら

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