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抗がん剤の治療とは

抗がん剤とは

リンパ腫は体の中を巡っているリンパ球ががん化したものなので、ほとんどの場合、外科手術で取り除けるような形状とはなりません。そのため、治療には抗がん剤が使われるのが一般的です。

マヒナのLGLリンパ腫でも同様で、抗がん剤での治療を進めることにしました。

抗がん剤には多くの薬があり、それぞれ特徴や投与方法が異なっています。
抗がん剤によるリンパ腫の治療の代表的な方法では、複数の薬を組み合わせ、1週間に1度異なった薬を投与します。
どの薬をどのような順番で使うのかはプロトコルと呼ばれ、これまでの事例や研究から有効だと考えられている組み合わせ・順番・間隔が提唱されているものがあります。

抗がん剤での治療方法

効果が期待できると推奨されているのが、CHOPプロトコルと呼ばれるものです。

C:シクロホスファミド
H:ハイドロキシダウノルビシン(ドキソルビシン)
O:ビンクリスチン(オンコビン)
P:プレドニゾロン

これら4種類の薬を使うため、CHOPと名付けられているそうです。
最初の9週間は週に1回、それ以降は2週に1回、投与を続けます。半年経ったら効果を見て、その後は検査をしながらいったん薬の投与はやめても良いのか、まだ続けるべきなのかを判断します。
この方法では、多中心型リンパ腫では80〜90%ほどが寛解(いったん治療をやめられる状態になること)するそうです。しかし、マヒナのLGLリンパ腫は多中心型リンパ腫よりも厄介なため、どれくらいの効果があるかはわからないとも言われました。

また、上記の薬の他にも、治療に使われる薬があります。

L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)
リンパ腫の細胞が必要とする栄養素を分解する効果があり、副作用も起こりにくいとされます。ただし、効果はあまり長続きしないため、治療の最初や猫が弱ってしまった時に緊急的に使われることが多いそうです。

ニムスチン(ニドラン)
人では脳腫瘍に多く使われる薬です。血液内を通りやすい性質があるため、脳腫瘍やリンパ腫などの血液のガンに効果が現れやすいようです。人の場合は補佐的な役割で他の薬と一緒に使われる抗がん剤とのことです。

CHOPプロトコルとは別に、ニムスチンを3週間に1度投与する方法もよく用いられるとのことでした。

治療方法の選び方

マヒナの治療方針を決める際も、CHOPプロトコルにするか、ニムスチンを中心にするかで迷いました。CHOPプロトコルの方が一般的なようですが、LGLリンパ腫の症例は少ないし、獣医さんたちも実際に扱ったことがないから判断しきれない、とのこと。

ただ、話を聞いていると、CHOPプロトコルも薬の投与順が固定されて決まりきっているものではないようでした。複数の薬を使うことで、副作用を緩和しながら治療を続けられる、相性の良い薬を見つけられるのもメリットとのことです。
そのため、よく効く薬が見つかれば、その薬を中心に投与するように変更しても良いし、相性の悪い薬は使わないようにすることもある、と。思っていたよりも柔軟に変える治療法のようです。

また逆に、ニムスチンでの治療を始めたとしても、その後の経過によってはCHOPプロトコルやそれに近いような、複数の薬を使う方法に切り替えることも可能ではある、とも聞きました。

それでも、治療方針の決断は簡単ではありませんでした。調べても、いろいろな事例が見つかります。結局は猫と、がんと、薬の相性の良いものを探すしかないようです。

CHOPプロトコルのような、複数の抗がん剤を併用したことで成功した事例もありました。
多剤併用化学療法により長期生存した大顆粒リンパ球性(LGL)リンパ腫の猫の1例

ニムスチンを中心とした治療で成功した事例もありました。
Long-term complete remission in a cat with large granular lymphocyte lymphoma by nimustine treatment

ロムスチンとL-アスパラギナーゼで成功した例もありました。
猫の消化器型リンパ腫(LGLリンパ腫)の1例

そして、半ば偶然に近い形で、マヒナはニムスチンを中心とした治療を選びました。

当初はCHOPプロトコルにした方がいいような気がしていました。ただ、抗がん剤治療を始めるにあたり、少し体力が落ちていたこともあり、まずレスキューにも使われるL-アスパラギナーゼとニムスチンを最初に投与してみようということにしたのです。そしてニムスチンの効果が切れる3週間後から、CHOPプロトコルにしても良いだろうと思っていました。

しかし、このニムスチンが非常に良く効きました。効いているなら続けた方が効果が期待できであろうこと、CHOPプロトコルでも相性の良い薬が見つかったら多く使うこともあると聞いたことから、それならまずはニムスチンに賭けてみようと決めました。
もし将来的にニムスチンが効かなくなってしまっても、別のアプローチができる薬も他にあるという話も、決断時の心理を楽にしてくれました。

ニムスチン

ニムスチンの特徴は、3週間に1度の投与で良い点です。CHOPプロトコルでは毎週病院に行かなければなりませんが、ニムスチンならば頻度が減らせるので、ストレスも軽減できます。

ただし、副作用として白血球が減ってしまうことが多いようなので、その点は注意が必要です。そのため、マヒナは薬の投与を起点として2週間後に検査、3週間後にまた投与、というペースで病院に通っています。


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