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⑪発達障害を疑ったポイント

後輩の発達障害を疑い始めたきっかけは、入社直後の後輩のオウム返しだった。

彼のオウム返しは、2秒ほど遅れて一字一句私の発言した内容を復唱することだった。私の発言途中に被せてくるのだ。これをやられると話すほうは混乱して話すことを止めざるを得ない。

私は後輩に言った。
「話は最後まで聞いてほしいです。スピーチジャマーっていう装置があるんですが、話者の話を遮りたいときに、相手の話を数秒遅れで聞かせる仕組みでね、話し手は混乱して話せなくなるんです。イグノーベル賞を取った装置なんですけどね。」

後輩「復唱して頭に入れたいと思ってるんです。」

私は、復唱は話し終わった後にお願いしたい旨伝えた。今考えると、この時点で相当難しいことがわかる。


その後、彼の気になったことは、以下のようなものがあった。

●メモが汚い。自分でも読めないとのこと。
●メモを取ると、口頭で指示を受けた内容が残らないことを自覚している
●メモを付箋やノート、PCなどいろいろなところに書き散らすので、どこにメモを取ったのかがわからなくなる
●喫煙していないが、一度席を離れると20分以上戻ってこない。
●身なりが汚い。土埃だらけの通勤靴、置き靴の革靴に大きなシミが入っている。スーツもしわだらけ。
●初夏にダウンを着てくる
●常にアロンアルファを持ち歩いている
●公園で拾ったボールを嬉しそうに見せてくれる
●入社して数か月で駅のホームから落ちて松葉杖をついて出社してきた
●友人のうちにお邪魔した際に、ふるまわれた缶ビール(未開封)を勝手に持ち帰ろうとする
●温泉旅館のロビーで、人前で足の爪を切る
●クレジットカードで支払いをしようとして止められている
●ミーティングで趣味の話をしだすと止まらずに話し続けている
●目の前に役員が座っているセミナーや、少人数のチーム会議でも寝てしまう
●会議で的を射たコメントがない。自分の意見が無いように見える
●部内の職場改善ミーティングで意見を求められ「仕事内容が難しいので簡単にしてほしい」という意見を発表する
●気の毒そうな表情が不自然
●会議中、人の相槌を一字一句マネする(オウム返しのように)
●同僚を呼ぶときに、手のひらを上に向け、人差し指と中指を曲げて呼ぶ
●2日間に渡り終日実施されるセミナーをすっぽかす
●「〇〇さんに〇〇さんを紹介する」という簡単な業務を2か月間先延ばしし続ける(作業予定には組み込んでいて、それをあと倒しし続けた)
●チームミーティングで過去の職務経歴を聞いている最中に、身内の保証人にならされて、犯罪に巻き込まれたことを教えてくれた(言わないで欲しい!)

学校であれば、武勇伝としていじられて愛されるのかもしれないが、同じ業務を共有している私にとってはそのような状況にはならなかった。
発達障害と、育ちの問題と、両方難しい状況があるように思えた。

それでも彼はいつもニコニコして、嫌みなことも言わないでそこにいた。
仕事でかかわっていない社員には人気があり、私も彼が成長することを期待していた。その期待は年を追うごとに絶望に代わっていく。



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