美味しい血

僕の血はおいしくない。

だからみんな僕にはよってこないんだ。みんな、隣のあいつにはよってたかってちやほやするのに、ぼくときたらどんなに愛想良くオープンにしていても、時にはすべてをさらけだしたとしても、よってくる奴は皆無だ。正確には、皆無“だった”。昨日の夜までは。

昨日の夜は眠れなかった

いまでもその鮮やかな感覚の記憶とともに僕の身体に残された疼きを伴う小さな印はこころもち恥ずかしげにまだその淡紅色の小高い丘を遺し、僕の意識の中で膨らみ実存の丘となったその頂にて僕は彼女との目眩く生の営みをかけた戯れに思いを馳せた。意識が遠のく寸での瞬間、彼女は優しく僕を噛む。僕はそれを赦し束の間の眠りに落ちる。やがてそれはうずきとなり僕の意識を夢の間にとどめながら彼女をもとめ彷徨う。だけど彼女と僕との戯れはやがて一方的な終わりを告げるんだ。いつものように。

僕は彼女を殺してしまう

それもはや暗喩でもない。僕は必ず。彼女らを殺すんだ。そうすることですべてがつながる。

僕の血はおいしくない。

2009.7.21 mixi より


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