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【鉄道ネタ】京葉線の快速問題と今後について考える(前編)

北陸新幹線についての記事を書いていたら、
私の最寄りの路線である京葉線についても触れたくなってきました。
京葉線については、現在、快速の問題を巡って話題になっています。
本記事の大半は私の妄想となっておりますが、
時間のある方はお付き合いいただければと思います。

1. 京葉線・快速問題の概要

ITmediaより

2024.3.16ダイヤ改正で、京葉線の朝夕の快速運転の取りやめと通勤快速の廃止。
それに対して地元自治体が猛反発。
それを受け、JR東日本は2024年9月1日のダイヤ改正で
一部各駅停車を快速に戻すとのこと。
この対応は異例のことですが、
通勤快速の運行は復活せず、利用者は納得しないかと思います。
個人的には後述しますが、そういうことではないだろ、と感じています。

2. 快速大幅減便と通勤快速廃止の意図

JR東日本HPより、房総地域で使われる特急車両E257系

今回の快速大幅減便と通勤快速廃止の意図を
私の思うがままに考えてみます。
端的に言うと、今回のダイヤ改正はJR東日本による
利用者への「特急への誘導」ではないかと思っています。
(急ぎたければ特急を使え、ということ。)

コロナによる外出制限により鉄道の利用者が大幅に減りました。
そしてコロナ関連の規制緩和後も、各企業のリモートワーク等の奨励により
鉄道の利用者の数がコロナ前の数字に戻っておりません。
天下のJR東日本にとってもこれは例外ではありません。

コロナで減った利益をどこで回収するか。
JR東日本が目をつけたのは「有料特急」。
まず、特急等の自由席を指定席化し、そこで利益を増やす。
ご存知の通り、東日本管轄の新幹線では大半の速達系の種別が全車指定席となり、
在来線では、主に普通列車にグリーン車が連結せれている路線の特急も
基本全車指定席となった。

また、東海道線と中央線で通勤ライナーの特急化。
そして成田エクスプレスの停車駅増加。
これらよりJR東日本が特急で稼ごうとする姿勢が感じられ、
特急が走っている京葉線でもそのうち何らかの動きが起きるだろうと思っていた。
今回のダイヤ改正がそのタイミングで、
その方策が通勤快速廃止で、JR東日本としては
通勤快速利用客が流れてくれることを狙っているのではないかと。

3. 今回の快速問題について個人的に思うこと

3.1 快速の大幅減便について

まず、今回のダイヤ改正で朝夕の快速運転がなくなり大幅減便となった。
その理由として、「現行の快速通過駅の乗客に対しての利用機会の増加」
を挙げているが、それについては一理あると思っています。

「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より、
令和4年度の京葉線各駅の1日あたりの乗降客数。

上図を見てください。
ちょうどランキング11位の検見川浜から上が現在の快速停車駅、
12位の潮見より下が快速通過駅となっています。
千葉みなと、検見川浜、潮見、葛西臨海公園、新習志野の数字を比べると
そこまで大差がなく、千葉みなとと検見川浜を快速通過にするか、
潮見、葛西臨海公園、新習志野を快速停車駅にしても良いかもしれません。
しかし、それ以上快速停車駅を増やしたら
速達性が殆ど各駅停車と変わらず、
快速の存続の議論が出てくると思います。

また、乗降客数最下位の越中島についても、
以前は京葉線の各駅停車しか停まらなかったため本数が極端に少なく、
そのため数が少ないのは、利用者が至近距離にある東西線の門前仲町駅や有楽町線・大江戸線の月島駅等に流れているためである。
越中島は駅近隣に大学や住宅街などがあり、ポテンシャルを持っている駅である。
また、下図の越中島駅の乗降客数の年あたりの推移を見ると、
武蔵野線の京葉線内各駅停車化の効果もあってか
コロナ前までは増加を続けています。

「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より

また、越中島駅以外の快速通過駅の乗降客数の推移を以下に挙げます。

「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より
「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より
「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より
「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より
「統計情報リサーチ」(statreseach.jp)より

これらの図より、二俣新町と新習志野以外の駅では、
コロナ前まではコンスタントに乗降客数が増加しており(新習志野も他と比べたら緩やかですが増加傾向なのかと)、
二俣新町以外は本数増の需要があるといえます。
その方策として快速の各駅停車化を選んだのでしょう。

とにかく、後述する内容も含めて、
京葉線内の速達列車の停車駅や運行形態を見直す必要があったのは確実に言えることでしょう。

3.2 通勤快速廃止について

毎日新聞HPより

問題はむしろこちらなのかと思います。
今回の京葉線ダイヤ改正で反発しているのは、
京葉線沿線の利用者よりも
京葉線を使う内房線・外房線の利用者だと思っています。

京葉線通勤快速は鉄道界ではご存じのとおりのバケモノ種別で、東京・八丁堀・新木場に停車した後は、蘇我までの12駅連続通過と
京葉線の地上区間のほとんどの通過し、
有料特急に匹敵する速達性を持っています。
京葉線の蘇我から東京間の所要時間は
各駅停車で約56分、
通勤快速の上りは約42分、下りは約37分、
特急で約30〜35分。

私は京葉線沿線住民でかつては京葉線で東京方面へ通勤していましたが、
個人的には通勤快速の通過待ちが鬱陶しい存在で、
こういったクレームもJR東日本にある程度あったかもしれません。
また、帰りの時間帯下りの通勤快速は他の種別に比べて空いていた感じだったのは事実だが、
だから廃止というのは違うように思え、
通勤快速の下りのみ海浜幕張停車にしたらまた違ったかもしれない。

一方、蘇我以南の利用者は蘇我に出るまでに時間がかかり、
そこからまた約1時間満員電車で過ごさなければいけないのは厳しい。
遠近分離、蘇我までの乗客と蘇我からの乗客を分ける手段は必要かと。

また、特急の利用状況を見ると、
ホームから車両の窓を覗く形であるが、
利用率は芳しくないように見えました。
同じくらいの速さで追加料金のいらない手段があればそちらを使うのも当然でしょう。
そこで、通勤快速を廃止したらどれだけの乗客が特急に流れてくれるか。
JR東日本にそんな魔がさしたのか否か。
中央線と東海道線の通勤ライナーから特急への移行は
ライナー券の存在があったので、まだただの値上げと捉えることができましたが、
追加料金なしから課金が必要になるのはハレーションが大きいように思います。

9月のダイヤ改正で快速の本数を増やすそうですが、それでは反発している人たちは納得しないでしょう。
反発している人たちが望んでいるのは通勤快速の復活だと思われます。
ただ、特急誘導の視点から通勤快速の復活の可能性はほぼ見込みがなく、仮に通勤快速を復活させたとしても、廃止前のものをそのまま復活させるだけではナンセンスだと思います。

(後編へ続く)

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