“箱推し”したくなる猫たちとの妄想日記
2匹の猫がいて、その2匹がそれぞれに放つ空気があって、ひとつの空間を創り出す。
そして、この一時だけ漂う至高の空間に溶け込みたい。
そのままわたしも空間の一部になって、2匹を包み込んでしまいたい。
いつも1匹の猫に焦点を当て、その猫の魅力を「伝われ〜!!」と念力を送りながら筆をとっている当マガジン。
今回は珍しく、この1記事で2匹の猫を同時に取り上げたいと思う。
「ペア」がゆえの魅力
テレビに出るような人、いわゆる芸能人を思い浮かべてほしい。
ひとりでうまく立ち回って魅力を放つ人もいる一方で、グループやペアという関係性の中に置かれた時にその人たちの魅力が最大化される場合も多分にある。
現在、てんらん保護猫寮で過ごすピラフとキューピーも、まさにその一例だ。
1匹1匹の魅力があるのはもちろんだが、ピラフとキューピーは「ピラキュー」というペアになったとき、さらにたまらなく愛おしい存在になる。
2匹は同じキジ白のオスで、数回見ただけではなかなか区別がつかないくらいそっくりだ。しかし、性格はきちんと目に見えて違う。
ちょっとした所作から、穏やかさを漂わせるピラフ。一方で、内弁慶な空気を匂わせてくるキューピー。
そんな2匹が共に寄り添って狭い場所で眠りにつく姿は、何時間でも眺めていられる。
見た目はそっくりなくせに、綺麗なまでに性格や言動が真逆な2匹は、2匹で推したくなるポイントを突いてくる。
“人慣れ”によって消えてしまうもの
その色や重みや温度感は、両方ともきちんと異なる。それなのに、2つは分離するどころか、融合し全く新しいひとつの空間を創出する。
その空間に私も空気ごと混ざりたい。
そして、空間の一部になってしまって、2匹をまるっと包み込みたい。
そんな欲求をかきたてる魅力が、キューピーとピラフにはある。
だからこそ、できれば2匹揃って同じお家に迎えられてほしい。この2匹にしか作り出せない空間をZoom越しに味わって、完全に虜になってしまった。
ただここでネックになるのが、“人慣れ”の部分だ。
現在、2匹は人慣れ訓練のため、てんらん保護猫寮で暮らしている。元野良猫だった2匹は、どうしても子猫の頃から人間と接している猫と比べると、“人慣れ”の程度は低い。
みんながそうだと言いたいわけではないが、「新しい家族として引き取るなら人慣れした子のほうがいい」と考えている人は一定数いるだろう。
かくいう私だって人慣れした猫に寄ってこられるだけで、軽率に頬がゆるむ。
ただ、過度な“人慣れ”を求めるのは、人間側のエゴだなと思う場面が昔より増えた。
猫だって外交的なコもいれば、内気なコもいる。
過度に猫たちへ人慣れを求めるのは、ときに、その個性とも呼べるだろう部分を消してしまうことに繋がらないだろうか。
消しゴムで消して、上から鉛筆で書き直すようなそんな感じ。前に書いてあった跡はちゃんと残っている。その跡までは完全に消し去れない。何度も消して書いてを繰り返すと、紙が薄くなって破けてしまうようなことが、猫たち自身にも起こらないか不安になってしまう。
もちろん人間と一緒に暮らす上で最低限のコミュニケーションは必要かもしれない。
それは別に猫に限った話ではなく、人間もそう。
双方の歩み寄りは大切という前提のもと、まるっとそのコの全部を愛し、共生するのも可能だと思う。
それが人に不慣れで少し怖がってしまう猫であったとしても、人間に不慣れな猫と猫が好きな人間の中でしか生まれない素敵な関係性がきっとあるはず。
少なくともZoom越しで人間に警戒心を見せるピラキューを前にしたとき、私はこの2匹との関係構築に挑戦してみたいと心から思った。
ピラキューとの妄想日記
〇月×日
ピラフは、この部屋で今一番日当たりのいいところを探すのがうまい。
キューピーは、いつも通り少し狭そうな箱の中で気持ちよさそうに寝ている。
今日の私は元気がないので、少し日光を浴びてセロトニンを出した方がいいだろうと判断した。
そして、ピラフを見習いつつ、ピラフの邪魔にならないよう近くに体を横たえた。そこは、思ってたよりも暖かかった。日光だけじゃなくて、きっとさっきまでピラフがここにいたのかもしれない。
もしかしたら、キューピーも一緒に寝ていたのかな?いつも通りキューピーが下で、その上にピラフが乗っかるような体勢で。
2匹の寝息が聞こえる空間に、溶け込めている感覚がした。
キューピーのプロフィールはこちら🐈
ピラフのプロフィールはこちら🐈
てんらん保護猫寮のインタビューはこちら🏠
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