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浜崎なおこat echo&cloud studio「magic hour with Naoco ~最も美しい時間を至福の歌と」【配信ライブレポ】2020年12月19日

2020年12月19日Xmas前の週末の午後、浜崎なおこが
「magic hour with Naoco ~最も美しい時間を至福の歌と」
というタイトルでレコーディングスタジオecho&cloud studioより無観客配信ライブを開催した。

また、リアルタイムに配信された内容に同スタジオで再収録したテイクも含めて、本年1月4日から13日まで 「magic hour with Naoco ~spcial edition~」と題して再配信された。

浜崎なおこはReplica解散後、Naoco&The Infections等のバンド活動を経て、現在も様々な形で音楽活動行っており、2018年は再結成したReplicaのデビュー30周年記念ツアーを行い、2019年には田中一郎とのアコースティックユニットであるなおこと一郎。で「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演した。
主な活動はなおこと一郎。ではあるが、今回久しぶりにソロ活動という形でサポートメンバーを迎えたライブ開催となった。

「magic hour」とは日没の前後にある薄明かりがとても美しい時間帯のことである。 
この日、冬至間近の東京都の日没は16時30分と早く、マジックアワーとなる15時45分より配信が始まった。
このアイデアを思いついたのは、MCでも話しているが、配信元のレコーディングスタジオの特徴にあった。
配信ライブはなおこと一郎。で、ライブハウスより有観客ライブと合わせた形で経験があるが、積極的に行っていこうとは思っていなかったとのことである。
しかし、2020年は思うようにライブが出来ない状況であったことはどのミュージシャンも代わりがなく
「このまま年を越すの嫌だ。今年最後に好きなことをやりたい」と思い立った。
そして配信ライブで出来ることはなんだろう?と考えだした。
一般的なレコーディングスタジオは窓がなく終わったら真夜中だったということが多かったが、このスタジオは窓から外の風景が見え時間と共にある場所だと感じた。そこで、このスタジオよりマジックアワーに配信するライブというものを思いつき、力づくで実現させたとのことであった。

確かに、配信が開始した時に見えた風景は一般的なレコーディングスタジオの風景とは違った。
窓がアーチ状の天井の近くまであり、洒落たカフェに見える程に開放的である。
配信当日はあいにくの薄曇りの天候であったが、まだ空が明るいことが分かるレコーディングスタジオから、アコースティックギターを持った浜崎なおこの歌とサポートメンバー広本葉子(pf, key)の演奏が始まった。

恋人と過ごす穏やかで幸せな風景を描くReplica時代の「Water Blue」からライブが開始した。
( ~spcial edition~では別テイクが配信されている)
Replicaの良さは昨今のバンドでは珍しくキーボードのメンバーが居たことであり、バンドサウンドに加え、豊かな風景を見させてくれた。
この曲では、陽だまりを感じられるような柔らかいキーボードとアコースティックギターの音に包まれた。

2020年3月、初の緊急事態宣言発令直前に発表された新曲「Something Good Happen」が次に演奏された。
♪思い描いたストーリーじゃなくても ありふれた日々の中のハピネス 拾い集めゆこう
不安な時代だからこそ紡ぎ出された優しい言葉達に緊張感が溶ける。
そして♪言葉にならなくても伝わる 形のない心と心触れ合える 不確かで愛しい世界
と紡がれる。人と人の間にある力、そして音楽の力でもあると感じた。

MCでは「青い空は見えるけど、ちょっと暗いかな?」と話し今回のライブを開催する経緯を説明した。
「コロナの影響で振り回され、状況を見ているばかり、待っているばかり」
それならやってしまおうと今回のライブを決めたと。

そして「Happy Sad」に続く。
この曲はNaoco&The Infections結成当初の名曲であり、隠れた人気曲であるが音源化はされていなかった。
しばらくしてから、ファンの声を後押しに再レコーディングバージョンが会場限定CDで販売された経緯があった。
サビでは
♪幸せはきっと君の上に 懐かしい街の夕暮れすり抜け もうすぐ君の窓を叩く はにかんだ瞳で
と、今は悲しみの渦にいても、いつか幸せが訪れるんだという優しいメッセージが込められている。
また、♪地下鉄の長い階段の先にある青い空を見上げる 幸せはきっとこんな風にどこにでもあるのに
と歌い、それは自分の真上にあるんだよってことを曲が教えてくれる。

キングレコード所属時代、テレビアニメ「ヤマトタケル」のエンディングテーマ曲として濱崎直子名義でリリースされた曲である「Twilight Songs」は、YouTubeで世界中で聞かれていて、歌われている。
リリース当初、今は亡き父が入院中の病室で聞いて「自分のことを想って歌ってくれたでしょう?」と感謝されたエピソードをMCで話した。
父だけのことを想った曲ではなかったけど、形のある故郷としてだけでなく、心の中の「帰る場所」というのを想い描いた曲であるとのことだった。

ここから、さらに2人のサポートメンバーが参加した。
今日のメンバーは各々活動していたバンドで出会った古くからの仲間である。
ピアノの広本葉子は、NONSECTがReplicaと同じコロムビアから同時期にデビューしたことがきっかけで知り合った。
コントラバスで参加したecho&cloud studioのオーナーでもある松井敬治は、OWL時代にReplicaとタイバンした経緯があり、the Primroseで活動中である。
カホンで参加した平谷庄至もReplica時代にHan-naで活動している時に知り合い、現在はKEMURIのドラマーで活躍している。
Replicaがキングレコードに移籍した当初の名曲「If You」より、この4人で演奏された。
新しい形のアコースティックバージョンで、暖かく包まれた。
♪暗い夜道であの子が泣いてたら どうかお月様あの子を守っておくれ その涙を包んで 
月という天体に想いを託すこの曲は、限りなく大きく包んでくれる存在に祈りを込めるReplicaの浜崎なおこ独自の世界観が強く出ている曲だと感じる

「今日は自分のためのライブ、自分のご褒美のようなライブ」だと、この4人で重ねる素晴らしいサウンドに対して話す。

Xmasに近いことから、演奏されたThe Pretendersの「2000miles」(12月19日の配信限定である)
一度、Naoco&The Infectionsのライブで演奏されたことがあるが、切なく優しい声が染みる。
 
また、ここからはコントラバスが抜け、3人で演奏となる。
次にRCサクセションの「夜の散歩をしないかね」がカバーされたが、聞いているとRCの世界観がReplicaの歌詞に影響を与えていることを感じ取れた。

ここで、Xmasの思い出について語られ、なおこと一郎。の比較的新しい曲である「椿」が演奏された。
「椿は武家では、首から落ちるから縁起が悪いお花と言われていた。だけど、上を向いて落ちるってかっこいい。私は大好きな花です」
とその潔さを歌にしている。

次のMCで参加しているヒトミィクプロジェクトについての話があった。
本日のゲストの平谷庄至と共に元Han-naで活動していたヒトミィクこと倉本ひとみは現在闘病中であるが、
「もう一回歌ういい機会だと思ってるんだという強いコメントをわたしに話してくれて。電撃が走る気分だった」という内容に続き、
「わたしもこの声で歌えるのは後何年だろうって、先のことなんて考えてもいつ何がどうなるかわからないけど、思いっきりやれるときに歌っていきたい」
と現在の決意を口にした。
また「ヒトミィクが私をプロデュースしてくれるかも?という話もある」とのことで、今後の活動も楽しみである。
「私がソロとして動き出したのも今日がきっかけ。自分が一番やってみたいなということに一歩踏み出した。そして色んな人に協力してもらったということで、それをパワーにしてこれからも動いていきたい」と話し、12月25日Xmas当日に二子玉川Gemini Theaterでライブがあることを告知した。

ライブ後半のハイライトだったのが「バレリーナ」だ。
この曲はソロになってからも演奏されており、なおこと一郎。でも定番の曲になっており、演奏の度にアレンジも進化している。
この日はサポートメンバーが醸し出す暖かい音色やコーラスの響きの素晴らしさに加え、シンプルなピアノの音色が持つ曲の力に涙がこぼれた。
Replicaのラストアルバムに収録されているこの曲は、1995年に神戸で震災があった年にリリースされた。
そして、現在の不確かな時代にも寄り添ってくれる曲だった。
この曲には風景描写が主で激しい主義主張はない。だからこそ、音楽を聴くエネルギーが失われてしまうような悲しい時にも聞くことが出来る曲だった。
♪どんな悲しい夜も まっすぐな瞳で誇り高きバレリーナ 
ただ浮かぶのは、誇り高く立つ一人の少女の姿だ。
再び、そうあろうという力を貰える曲だった。
そして、時刻は17時にさしかかり、窓からの見える景色が夜になっていた。

最後のMCでは「皆さんの窓はどうでしたか?」と質問があり、別々の場所で同じ空を見ようという気持ちが感じられて心強い気持ちになる。
今回のテーマはそこにあったのだと再度感じた。

流星群の話から、
普段気にしてなくても色んなことは起こっているということを大きいニュースを見ると思ったという話になり、
「同じ時間を過ごせるというのも、意志があってチェックしてくれてると思うけど、同じ時間を過ごすというのは運命的だったりする。ずっと一緒に時間を過ごせるのかな?と思っていても、別の方向に星が分かれていくことがあり、ずっと一緒には居られないということがある。」
「音楽を通して、一瞬一瞬を大切に生きていけたらと思います」
「振り向かず未来にそのまま走って行ける大人であれたらいいな」
という想いを込めた曲ということで、最後に演奏された「流星」は、無常である切なさと、だからこその輝きを感じさせられる切ない曲である。
♪振り向きもせず駆け出す君は流星
大切な存在が自分の前から旅立つ姿を流星と例え、その背中に祈りを込めている姿が浮かんだ。


2020年、失ったものもあったが、得たものもあった。
この状況にならないと気づかなかったり出来なかったことが確かにあった。
配信ライブは、それぞれの場所で見ることが出来る。
言い換えたらインターネットに繋がれば世界のどこからでも見ることが出来る。
海外から見ていた人が今回の配信ライブの感想を彼女のTwitterにリプライしているのを見た。
日本では配信ライブの開始時刻は夕刻であったが、他の国では夜間であったりする。
日本に入国制限がある現在、配信ライブは距離も時間も越えて見ることが出来るということはとても素晴らしいことなのだと気づいた。
いつか、有観客ライブが問題なく行えるような日常に戻ったとしても、そのような海外からの需要というものが確実にあり、同じ時刻にそれぞれの場所で同じ体験をするというこの配信ライブをまた開催してもらいたい。

尚、MCであった通り、1月12日ヒトミィク(倉本ひとみ)プロジェクトの第一弾が始動する。
トレイラー映像のCONCIENCIAと、Good-bye (瑠璃ver. )の2曲を先行配信スタートし、2月22日CDシングルリリースとなる。


また、当初アーカイブ配信がなかったことで見逃した方も多く、1月4日から13日まで~spcial edition~として、以下ボーナストラックとして追加収録した内容が配信された。

1.Water Blue/Replica 
2.RIVER/Naoco&The Infections
3.Rainy Day/Replica 
4.If You/Replica 

1.~3.は、echo&cloud studioで追加収録されたテイク
4.は、2020年12月25日二子玉川Gemini Theaterのテイクである。
この日のサポートメンバーは、グランドピアノ はReplicaのキーボード浅田昌也、アップライトベースは山田直子。

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12月19日配信セットリスト
01.Water Blue/Replica 
02.Something Good Happen/なおこと一郎。
03.Happy Sad/Naoco&The Infections
04.Twilight Songs /濱崎直子
05.If You/Replica
06.2000miles/The Pretenders
07.夜の散歩をしないかね/RCサクセション
08.椿/なおこと一郎。
09.バレリーナ/Replica
10.流星/なおこと一郎。


※個人的にまとめたものなので、タイトルのスペルや歌詞などが正確ではない可能性があります。ご了承下さい。

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