協力を求める
いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今週は壽田が投稿致します。
今回は、先に結論を書いてしまいましょう。この記事は、「マネジャーはメンバーに協力を求めよう」というお話です。一人でも多くのマネジャーがメンバーと協力関係で結ばれるようになる、これがこの記事の望むところです。何の変哲もないお話のようですが、実務上では、メンバーに協力を求めるマネジャーは非常に少ないと感じます。「私はメンバーに協力を求めている」という自覚がある方も是非、お読みいただきたく思います。では、いってみましょう。
前提は主従関係⁈
依然として、マネジャーの心の奥では、自分とメンバーとの関係を主従関係のように捉えているのではないかと思う場面に遭遇します。典型的な例を挙げてみましょう。「仕事なんだから、やって当たり前。もらっている給料の額を考えたら、もっとやってもらわないと」、「別に彼(彼女)じゃなくても構わない。辞められたら面倒なだけで、代わりはいくらでもいる」、「あいつは使えない」など。口に出して言うかどうかは別として、あなたがマネジャーなら、ちょっと心当たりがあるのではないでしょうか。
マネジャーには、組織の目的を果たすために、権限を行使して、やるべき仕事を実施するようにメンバーに指示する、また、メンバーを評価して処遇を決める、という役割もありますので、主従関係のように捉えてしまうことはあるでしょう。ただ、成果を上げるという点からあまり良い位置づけではありません。
本質は協力関係
マネジャーとメンバーの関係の本質は協力関係です。これは経営者とミドルマネジャーであっても、ミドルマネジャーとメンバーであっても同じです。その理由について、責任という観点から考えてみましょう。
マネジャーの責任は、当然ですが、プレイヤーのそれとは大きく異なります。プレイヤーは原則として、自分自身で何とかなる範囲で責任を負いますが、マネジャーは、メンバーとの相互作用を通じで成果を上げる役割を担いますので、その責任範囲は、一人では果たせないような領域に及びます。そして、マネジャーの責任は、メンバーに仕事を割り当てたり、委任したりしたからといって、その分の責任を免除されたり、軽減されたりする訳ではありません。つまり、マネジャーの責任範囲は、自分では認識しきれない領域にまで及ぶ以上、メンバーが目的や目標に向かって心を合わせて活動してくれないと成り立たないのです。
ストレートに協力を求めよう
ところが、多くのマネジャーは言葉にしてメンバーに協力を求めたりしません。むしろ、物事を難しくして、何とか仕事をさせようと画策します。
例えば、人事評価制度を何度も練り直したり、組織体制を変更したり、「スタッフを褒める」ための研修をしたりなど、外的な刺激や環境によって人を何とかしようと躍起になっています。
もちろん、これらの方法が間違っているとは思いませんが、物事を難しく考える前に、マネジャー自身の言葉でストレートにスタッフに協力を求めることが大切です。「是非、協力して欲しい。一緒になって取り組んでくれないか」と。新約聖書『マタイ伝』にある「求めよ、さらば与えられん」のように、自ら求めなければなりません。
また、これまで言葉にしてメンバーに協力を求めたことがないため、何となく協力をお願いしにくいというマネジャーもいるでしょう。気持ちはわからなくはありませんが、マネジャーとはそういう役割だと割り切って、協力を依頼しましょう。俳優が「この役は私の性格と真逆だから演じにく」などと言っていたら、舞台が成り立たないのと同じように、マネジャーの役割を演じにくいと言っていたら、組織という舞台は成り立ちません。
いかがですか。明日から、言葉にしてメンバーに協力を求めてみようという気持ちが湧いてきましたでしょうか。説得力を上げるために、著名な人の言葉を借りて、もう一押ししてみましょう。「マネジャーがメンバーに協力を求めるということは、チームワークの本質だ」ということについて、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の名誉教授であるエドガー・H・シャイン氏は、『人を助けるとはどういうことか―本当の協力関係をつくる七つの原則」(邦題)のなかで、外科医とスタッフからなるチームの例を挙げて次のように説いています。
重要なのは、支援が本当に必要だと外科医が認識し、それを口に出して認めることである。そうすれば、ほかのメンバーはより高い地位に引き上げられ、その結果、一連の進行にもっと貢献しようという意欲を高められる。・・・(中略)・・・外科医が指示者ではなくパートナーになれるという能力は重要だ
ではどうするのか
マネジャーとメンバーの位置づけが「協力関係」であるとなれば、自ずと何をやればよいか見えてくると思います。これはテクニックではありませんので、一人ひとりがどのように協力関係を築いていくべきかを考えて実行していただきたいと思います。あくまで参考程度ですが、私が気をつけていることを簡単に列挙してみます。
・背景や狙いを丁寧に説明する
・お互いに何をするのか具体的に約束する
・心配事やどこまで出来そうかを聞く
・言葉に出して「お願い」する
・途中で状況を聞く
・謝意を示す
・これらを行うために頻繁にメンバーと対話をする
繰り返しますが、あくまで参考程度ですので、自身なりの「協力関係の築き方」を一度整理してみて下さい。
最後に
いかがでしたでしょうか。「メンバーに協力をお願いする」なんて簡単なことではありませんか。しかし、意外とやっていない、やれていないものだとも思います。それは、マネジャーという「ちょっと偉そうに見える」役割が誤解を生じさせているのではないでしょうか。「成果を上げるために何でもする」という原点に立ち返って、一人でも多くのマネジャーがメンバーと協力関係で結ばれるようになり、望んだ成果を実現して欲しいと思います。
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