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経営チームをつくる

いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。今月は中島が投稿致します。

最近、中堅・中小企業の経営者の方から「経営幹部をどうにかしたい」というご相談を頂くことが多くなってきました。

思い返せば、2005年から経営コンサルタントとして企業支援を行ってきましたが、最初の頃は「生産性向上」がテーマとなることが多く、「仕事量は確保できているが、それらを効率よく捌けていない」という相談が多かったように感じます。

2010年代に入ると売上に伸び悩む、利益が減ってきているということで「営業部門の強化」をテーマにしたプロジェクトに携わることが、個人的には多かったように思います。

そして、2020年代に入り、引き続き、「営業部門の強化」をテーマにしたご支援が多いのですが、「そもそも経営幹部を何とかしたい」という社長の悩みをお聞きするケースが増えてきました。お話しを伺う限り、経営幹部の方々に対して、経営者としての物足りなさを感じていらっしゃるようでした。

一体このような課題をどう解決していけばいいのでしょうか?

熱中する組織では「経営チームをつくる」ということをご提案しています。これからの経営は、社長一人でするものではなく、経営幹部がそれぞれの得意分野で最大限の力を発揮しつつ、お互いの不得手を補い合って進めていくことが必要となるでしょう。ただ、そうは言っても、そのような人材がいればいいが「今はいない」と思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、だからこそ、まずは社長の右腕の機能を果たせるような「経営チームをつくる」ことが必要であり、その中で、役員同士を切磋琢磨させ、一人ひとりの成長や経営者としての自覚を促していく必要があるのです。

ということで、今回は「経営チームをつくる」ということをテーマにし、まずはその必要性を考える機会になればと思っています。

日本経済 「失われた30年」

日本経済はバブル経済崩壊後、名目GDP(USドル)の推移を見ると、1995年から約30年間全く増えていない状況です。また、最新の国際競争力ランキングも34位とOECD加盟国の中でもかなり低い順位となっています。さらには企業の世界時価総額ランキングでも、トヨタ自動車がようやく40位に出てくるだけであり、トップ100には1社しか入っていません。1989年時点ではトップ50に日本企業が32社入っていたことからも、凋落ぶりが伺えます。そして、日本の労働生産性は先進国中ではかなりの低水準になってしまいました。ちなみに、時間当たりの労働生産性はOECD加盟38カ国中23位、一人当たりの労働生産性は28位という状況です。

これが日本の実態であり、現状です。

この時代を生きてきた者として、今、ビジネスに関わる者として、そして、お客様の経営をサポートしている者として、責任を感じる部分もあり、「このままではいけない、何とかしたい」という気持ちで一杯です。

日本の経営者はこの状況を受け止め、もっと「新たな価値を生み出す」活動を強化するような経営改革に取り組むべきではないでしょうか。そういう意味で、「経営チームをつくる」ことが必要ではないかと言っている所以でもあります。

社長一人で経営するのはより一層難しい時代

今日は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と言われます。そんな中、経営課題は多様化を極めています。人材確保、人材育成、生産性向上、技術力・開発力の強化、ブランド力の強化、営業力や販売力の強化、コンプライアンスの遵守、次世代の経営層の発掘など、社長一人だけでさまざまな経営課題の解決に向けて取り組むのは、より一層難しくなっています。

また、今の時代は物を作れば売れるような右肩上がりの時代ではありません。そして、過去の成功体験が答えとして適用できません。そもそもビジネスの世界は唯一絶対的な答えが無い世界であると、以前からお伝えしてきましたが、より一層、そういう世界になるでしょう。

そして、そのような時代を生き抜き、更なる発展を目指そうと思えば、これまでの成功体験、前例、常識といったものから離れ、「こうなるであろう」「こうしたい」という仮説を立て、試行錯誤し、皆で考え抜いて答えを探っていきながら、自分たちで「これが答えだ」と決めて、前へ進んでいく力が必要になります。

恐らくそんなことは我々が言わずとも、経営者の方々のほうがよりリアルに感じ、気づいていらっしゃるのではないないでしょうか。その証拠に、経営者の方々のお話しを伺っていると、「先の予測がしづらい。私にも答えがわからない」とおっしゃる方が増えていると感じます。

どう経営チームをつくるのか?

では一体どのように「経営チーム」をつくっていけばいいのでしょうか?

今回は触りの部分だけにしておきますが、一言で言えば、これまでわかっていたにもかかわらず解決できていないような経営課題にチームで取り組ませる、ようにします。また、3年後や5年後を見据えて、社会やお客様へ提供する新たな価値を生み出す、というようなテーマに取り組ませるのもいいでしょう。

というのも、もしかするとこれまで見て見ぬ振りをしてきたかもしれない、また、他人事のように扱っていたかもしれないような経営課題を自分事にさせる必要があるからです。自社の将来に対して、真の当事者になるためと言っても過言ではありません。

そして、その過程において、経営チーム内での「揉める会議」は必須です。

役員一人ひとりが健全かつ活発に意見を出し合って、経営課題の解決に向けて議題に取り上げた論点を十分に揉むことができることが必要であり、対話を繰り返すうちに真の当事者へとなっていくのです。

「経営チームをつくる」3つのメリット

では、「経営チームをつくる」と、どんなメリットがあるのでしょうか?

これまでの経験から、以下の3つのメリットがあると感じています。
① 社長の思いや考えが浸透しやすくなる
経営チームで経営課題へ取り組ませることで、役員一人ひとりの「視座」が高まります。これまでは担当する部門のことだけを見ていればよかったかもしれませんが、全社的な経営視点での判断が求められるようになります。そうすることで、社長の立場に多少でも近づくことができます。そうなれば考え方やものの見方がわかるようになり、社長の思いや考えが浸透しやすくなるというわけです。

② 社長として本来やるべき事に集中できるようになる
役員の経営能力が高まれば、意思決定力や問題解決力も高まり、自部門における問題もどんどん解決するようになります。そうなれば、いちいち社長が動く必要がなくなり、その結果、社長の時間に余裕が生まれます。その生み出された時間を使って、経営トップとして本来やるべき事、例えば、役員よりも先を見据える時間を持つことや後継者を育成するための時間を持つことができるようになるというわけです。

③ 経営者として頭角を現す人が出てくる
経営チームをつくれば、必ず役員同士の切磋琢磨が生まれます。そして、経営者として頭角を現す人が出てきます。そうなれば、後継者問題も解決できるというわけです。もしかすると、ここが一番大きなメリットかもしれません。

経営チームをつくることには、まだまだ多くのメリットが存在すると思います。少なくとも①〜③のメリットが享受できれば、これからの時代を生き抜く可能性は確実に高まると思うのです。

最後に

さて、今回もいかがでしたでしょうか。

経営課題を解決するための対策はさまざまあります。これからの時代を見据えた時に、「経営チームをつくる」ということも一つの対策の中に含めてみてはいかがでしょうか。もし、「経営チームをつくる」ということに可能性を感じるようであれば、今すぐにでも取り組まれることをおすすめします。

ドラッカーもこのように言っておりますので。

マネジメント・チームは一夜にしてならず、機能するには時間がかかる。
相互信頼と相互理解が必要である。そのためには数年を要する。
私の経験では三年はかかる。

P.F.ドラッカー著「イノベーションと企業家精神」

さて、皆さんの会社では、どのような「経営チーム」を目指しますか?

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