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部下を信頼するということ


いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今週は壽田が投稿致します。
 部下に動いてもらうには「信頼」は欠かせません。マネジメントとは、「人々の相互作用を通じて成果を上げること」ですが、信頼がなければ、組織にプラスの相互作用は起こりません。それどころか、距離を置いて話さなくなったり、組織から離脱したりと、マイナスに作用することも少なくありません。組織が機能するためには、メンバーが組織の責任者を信頼していることが必要です。今回は、この「信頼」とはどんなことなのかについて、考えます。

信頼とは

 信頼とは、良い結果が出たかどうかにかかわらず、無条件に信じることだと思います。いつも期待した結果をもたらしてくれるから「信頼」するということではありません。また、信頼した結果、期待通りの成果が出なかったからといって「信頼を裏切った」ということにはなりません。それが信頼するということです。これは、アドラー心理学に似た考え方ですね。
マネジメントでは、まずマネジャーが部下を無条件に信じなければなりません。部下の働きぶりに不満があるマネジャーは、「そんなことできるわけがない」と言うでしょう。「これまで散々裏切られてきた」と。
 しかし、それは裏切られたのではありません。期待する結果を出せない状態のままで、マネジャーが部下を放り出してしまったのです。部下を失敗させてはなりません。もし能力が十分でなく、目の前のやるべきことをやり遂げることができないなら、事前に訓練したり準備させたりしなければなりません。ハードルを飛び越えることができなければ、飛べる高さになるように踏み台を用意させる。それがマネジャーの務めです。(ちなみに、ハードルの高さを下げることではありません)
 必ず飛べるようにさせてやれば、いつも無条件に信じることができますよね。つまり、信頼とは、期待する結果が出ると確信できるだけの準備をさせたうえで、無条件に信じることなのです。部下が「できる」状態になった上で、それでも期待した結果が出ない場合、それはマネジャーの責任です。部下にそう伝えて下さい。

甘やかしではなく挑戦への手助け

 これについて「部下を甘やかしている」と解釈される方がいますが、私はそうは思いません。事前に訓練したり準備させたりするのは、決して、手取り足取りやってあげる訳ではないからです。例えば、営業マンが商談に行く準備をさせる場合であれば、「先方にどうやって商品をアピールしようと思っているの? いま本番さながらに言ってみて」とか、「先方が『ちょっと価格が高い』って言ってきたら、どう反論するの?」などと、マネジャーが自分で商談に行くと仮定した場合に、しておくであろう準備ができているかどうかを確認してあげればよいのです。これは、部下ができることまで上司が先回りして、やってあげることではなく、ゴールの高さと部下の力量を、マネジャーが十分に承知して、自分の力だけでは飛び越えられないゴールをクリアさせてあげることになるのです。
 これを続けていると部下が変わってきます。いつも無条件に自分のことを信頼してくれる上司がいる。「良い結果が出る」と背中を押して送り出してくれる。たとえ、期待した結果がでなかったとしても、咎めれることはない。これで部下は上司を裏切ることはできないでしょう。

信頼すると何が得られるのか

信頼をすることには多くの効果があります。まずマネジャーは心の満足が得られます。人を信じるというのはそれだけで喜びです。「これなら大丈夫だろう」と思える準備をさせて部下を送り出してやる。そうすると自分のことのように結果が気になりますし、良い結果が出た場合には心から喜べます。だって、自分が事前準備に「一枚かんでいる」からです。
部下は、自己効力感を得ることができます。つまり、「できる」という自信を持つことができます。上司のサポートを受けて、足りなかったところを事前に解消させている。しかも、自分の責任をかけてサポートしてくれる上司が、「これならいける」と太鼓判を押して送り出してくれる。これほど、「できそうだ」と思えることはありません。

最後に

「人は期待した通りの成果を出す傾向がある」というピグマリオン効果をご存知でしょう。その効果を疑うような考え方もありますが、私はピグマリオン効果を信じています。ただし、「人を思うように操作する」という意図をもって期待をかけた場合には効果はないでしょう。ピグマリオン効果は「一片の疑いもなく期待する」ことが前提です。この前提を可能にするのは、事前に「飛べるようにしてやること」だと私は思います。おまえはできるって本当に信じてやると相手はできる。信頼とはこういうことではないでしょうか。少なくともマネジャーと部下における「信頼」はこうであるべきと思います。

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