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詩作品を時折投稿しています。
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記事一覧

【詩】十全

互いの息遣いを感じ いることのぬくもりを感じ 完全ではなく 十全 完璧ではないけれど 十全…

鈴木太緒
1年前
7

2022年のわらべうた その他1編

2022年のわらべうた 「くろいまりあは つちのなか くろいまりあを ほりおこせ」 ぺちゃくち…

鈴木太緒
2年前
6

【詩】架け橋

年月をかけて  守り育んできた教理 年月をかけて 築き上げてきた教会 それは一つの橋だった…

鈴木太緒
2年前
5

【詩】転調

ふと聞こえてきた音楽 懐かしいような音楽 呼び覚まされる軽やかな感覚 これは小学生の頃だろ…

鈴木太緒
2年前
13

【詩】ただ結びあわせよ

――ただ結びあわせよ。……(' Only Connect……’) (E・M・フォースター『ハワーズ・エン…

鈴木太緒
2年前
9

Francesco ~ほんとうの幸い~

~Francesco 1 ~                       兄弟なる太陽が まばゆい光…

鈴木太緒
2年前
11

近況

パソコンの前に座って仕事をしていると 物語がやってきた とりあえず手を止めて この珍しい客人を迎え入れる ポツリポツリと 身の上を聞いている内に やがてお話は大きくなってゆき (この忙しいときに限って) と呟きながらも 僕は興奮を隠せないでいる 気が付くと 物語は僕の頭の中を完全に仮住まい 道を歩いている時も 食事をしている時も 物語は自身を物語ることを止めない (困るよ 本業がおろそかになってしまう) やるべきことのリストを眺めつつ (それにこれからお客さんが来るんだ

グノーシス ~早く咲きすぎた薔薇のつぼみ

1、 グノーシス 早く咲きすぎた薔薇のつぼみ いまだ茎が芽をださんとしている時に 花開こうと…

鈴木太緒
3年前
9

わたしは わたしに 会いに行く

1、 来客があると大抵通す いくつかの部屋 日ごろから小まめに片付けをして ずいぶんと 整…

鈴木太緒
3年前
7

はじまりのとき

――神は光を見て、善しとした(創世記1章4節、ヘブライ語聖書) ――神は光を見た、美しかっ…

鈴木太緒
3年前
12

ひょうきんな人

札幌で暮らしていた24歳の頃 美術館のそばにある喫茶店で 数秘術をしている若い店主に占っても…

鈴木太緒
3年前
8

出発の朝

明け方 少年たちは祈っていた 小鳥のにぎやかな鳴き声  幕屋のカーテンは重く垂れ下がり ひ…

鈴木太緒
3年前
6

抱きしめられることで

抱きしめられることで 確かに感じた輪郭線 ――それが‟私“ 微笑みを前にして 思わずこぼれ…

鈴木太緒
3年前
3

輪郭

一枚の皮膜 /さらされている 一枚の皮膜 /まもられている 私の輪郭 /さらされている 私の輪郭 /つつまれている 皮膜がチクチク痛むとき…… 皮をもっと厚くするか もしくはいっそのこと決壊させて 溶け込んでしまうか それともそのギリギリの境界線を あくまで私は保っているか さらされている けれども つつまれている と言い換えられることが 今日も私の輪郭を紙一重で保っている