マガジンのカバー画像

音楽、アメリカ文化

13
アメリカ文化、ジャズ、ブルースについて。わりとしっかりした内容を。
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

ワンドロップ・ルール。人種か血統か。

英王室の騒動、ヘンリー&メイガン夫妻の騒動について、地上波のニュースで報道されるレベルでしか僕は知りませんが、拗れに拗れ、今やヘンリー王子やメイガンさんの過去の言動やその人となりの方に話題が移行してしまった感があります。今後の去就や暴露本などに関心が移り、ことの本質がどこかへ行ってしまった感じがあります。ですが、ことの発端は「肌の色」であったことは疑いないでしょう。なぜなら、単なる醜聞ならこれまでの英王室にも問題になる人物はいくらでもいたからです。チャールズ3世の聞くに耐えな

【81年続くラジオ番組】

アーカンソー州ヘレナはミシシッピ州ではないものの、デルタの中心地、クラークスデールから40kmほどの距離。ミシシッピ川を渡ればすぐの位置にあり、ここもブルースの町として有名です。ロバート・ジョンソンの結婚した相手がいて、彼が頻繁に通っていたことでも有名です(その連れ子が、ロバート・ロックウッドJr)が、他にもウィリー・スミス(マディのバンドのドラマー)など、この町出身のブルースマンも多いです。 キングビスケット社提供の、ラジオ番組 この町がブルースの一つの中心地になったも

【スパイク・リーがなぜ「Django」を批判するか】

ずっと見逃していた「Django~繋がれざる者~」(タランティーノ、2012年)をようやく昨夜見ました。面白かったです。前作イングロリアス・バスターズよりも、次作ヘイトフル・エイトよりも全然いい。近年のタランティーノの中で一番良いじゃん、なんて思いました。というのが初見の印象。公開(2012年)当時、スパイク・リー監督がかなり批判していたのを覚えていて、それについての考察です。 スパイク・リー監督は、何が不満なのか何でしょうね。結局美学の違い、というか。スパイク・リーにとっ

1964年6月21日

1964年6月、NYから三人の若者がおんぼろのフォルクスワーゲンに乗り込み、メンフィスへと向かいます。 彼らはミシシッピに辿り着くとまずロバート・ウィルキンスを見つけ(彼は既に演奏をやめ、牧師として暮らしていた)、そして彼の口からサン・ハウスの最後の住居とされるレイク・コーモラン(メンフィスから南に30kmほどの場所)という場所を聞き、翌日出かけます。 翌日そこでサンは見つからず、ただ、代わりに「サンの連れ子と結婚していたという人物の父親」を見つることができました。そこから彼