『雪の轍』見たよ。

畢竟、私の抱える問題は、自分自身を高く見積もり過ぎているところにあるのです。そのせいで、チンケな自分の標準動作の一挙手一投足にがっかりしてメンタルを削るというそんなネガティブ永久機関がフル稼働してしまうわけです。

そんな心象にしっくりきた映画。

『雪の轍』
あらすじはっ
ご近所問題とかいろいろあるけど、俺以外みんな馬鹿。

空気悪っ

長いし、集中力に精神力にとめちゃくちゃ疲弊する。
とにかく、楽しいシーンなんて一箇所もない。
ストーリーは説明しがたい物がある。金持ちの主人公の周辺で、細々した問題が起きる。それでそれを解決するわけでもなく、延々と議論したりしている会話劇。

で、演技がすごい。淡々とした言い合いが多いので、熱演ってものでもないのにめちゃくちゃ引き込まれる。脚本もよくできているのだろうけど、世間話をそのまま撮影しているようにさえ見える。それで、思慮に飛んでいるかと見せかけて浅薄にも聞こえる絶妙な会話。
主人公は、インテリでブルジョアで延々と正論をぶってはいるものの、そこ以外の視点に立つことのできない感じ。
インテリとブルジョアを抜いて、視野が狭くて正論風味を叩きつけて越にっている卑近さは、とても共感してしまった。私だ。

主人公の周りは、土地を借りていたりと完全に上下関係がある。それで、へりくだっているのに一切のリスペクトを感じない。この空気感がまたひりひりして全然楽しくない。そして映画には引き込まれる。

いかんとも魅力が伝えづらいのだけど、いつの間にか三時間見ちゃってるくらいの磁力がある。

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