『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』見たよ。


実在の画家、モード・ルイスの伝記映画。
Imdbで7.3ポイントを獲得していたってだけで、雑に見始める。

うん、いい映画です。

雰囲気が良かった。
伝記とも言えないような穏やかさで話が進んでいく。
生活の中に創作があった、とかそんな強調されたメッセージもなく、夫婦の生活と、その背景に、絵を描く楽しさを混ぜ込んだような話。
絵を描くことが生活の中の当たり前としてある感じ。

それにしても、この成功物語が昔も今も変わらないのかなとも思える。
モードがただ売る気もなく絵を描いていたら、都会のヒトがお金を払うからカードを書いてと注文してきて、やる気を出したらどんどんと評判を読んでいくという、ちょっとSNSでのバズりを見ているような気分になった。
そういった波及の中で、そんなことも気にせず、好きだから絵を描いていく。友達に絵を教えてほしいと言われた時、好きで描いているだけだから教えられないと答えているのがその結論のように見えた。

どうにも私は、そういった素直さを自分で見放してしまった帰来があるので、どうにもこういった人物に好感を持ちながら少し自身に陰鬱なフレーバーをふりかけてしまう。
偉大な作家が、英雄を連れてきたら悲劇を書いてあげようと言っていたが、
私は、喜劇を見ながら、鏡の中で悲劇の再演をしている。ロングショットを眺めながら、悲劇の要素にクローズアップしているわけだ。しかもそれは、画面の中ではなく、私の中のものだ。
美は見る者の目の中にあるとも言うし、結局は、私の目の中には、自分に対する呪いが込められているので、あまり純度の高いポジティブ要素を汲み取ることはできない。

ただ見ているうちは、いい話だと思いながら見る事ができた。
あと地味ながら、特殊効果がすごい。最初、イーサン・ホークに似たいい感じの若い役者だと思ってたら、イーサン・ホークのデジタルアンチエイジングだった。すごい。

なんか妙に鬱々とした感想っていうか。素直に書きすぎるとこういうことにもなりかねないな。どうしよ。

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,115件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?