『声の秘密』読んだよ。

コンテンツを消費しながら、日常の変化を観察する能力を失っていっているように思います。

不変の叡智とは、ありふれた物事に奇跡を見いだすことである。

── ラルフ・ウォルドー・エマーソン

そういった、ありふれたものの変化を感じ取れないからこそ、ちょっとした成長を実感できず、なにもできない日々を送ることになるわけですな。

そんななかで、本を読んだことによる成長はわからないけど、冊数をなんとか励みとすることはできるのです。


『声の秘密』
声に対するあれこれを深堀り。文化的イメージや、性差、政治家のスピーチなど。

おもしろい。おすすめ。

Vtuber崩れとして、また、声帯壊して日常生活に支障をきたした経験から興味をもって読みました。

で、かなり真面目に考察した内容。

特に、赤ちゃんの言語学習過程の話なんか面白かった。いわゆる赤ちゃん言葉や擬音を多くする傾向などは、聞き取るべき単語を明瞭にし、真似しやすくするなどの効果があるそうな。

本書の中で特に力が入ったのは、政治家の声の分析。当時の需要のされ方などを踏まえて、セオドア・ルーズベルトや、サッチャー、ジョージ・W・ブッシュ、そして、ヒトラーなど。それぞれの声の特徴や戦略を紹介している。

惜しむらくは、2008年の本なので、ドナルド・トランプが未収録なところ。ぜひとも、『声の秘密2』をだしてほしいところ。

古くて残念なのは、Youtuberやストリーマーなどの分析もないところ。ますます続編が読みたい。

あと余談だけど、この日本訳ところどころ手抜きが見られる。原著には、脚注がついていて、論文などは出典が記されているのに、翻訳過程でばっさりカットされている。「これは1977年に書かれた文章で」という前フリで引用している文章があったけど、日本語版だと誰が書いたかまるでわからない。
こういうとき、引用元がないと、茂木健一郎の脳漫談くらぼんやりした説得力になってしまう。
そんな手抜き以外は真っ当に読みやすい翻訳だったと思います。


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