『呪い返し師―塩子誕生』見たよ。

さて、なにもしなさすぎて、ついには書くネタもないので、メモ帳地層から発掘。

『呪い返し師―塩子誕生』
あらすじはっ
事件だ!これは呪いのせいだ!呪い返し師を呼ぼう!

これは、笑えるゴミ映画。

もちろん無料券で見ました。

で、全体の感想ですが。
結論から申しますと。面白かった。笑った。
なにかの間違いでお金を払って映画を見たような人はヒトは怒ったりするかもですが、タダで見ると、こんなに笑える映画も珍しい。なので、例の珍集団に住所を知られている人は鑑賞券を使うか、配信サイトの見放題に入っていたら試しに見てみるのも一興ではないでしょうか。

そんなあれな見どころの紹介と、ちょっとした宗教談義、あとはまあなんでこんなに学芸会レベルなのかってことをちょっと語りたく思います。

では見どころ。
無数にあります。ダサくないところがない。ジェネレーターで作ったような繰り返し展開しかない脚本、声の大きさが演技力だと思っている人物描写、脳震盪中に考え付いたような演出、すべてに笑いのフレーバーが効いていて、楽しめます。

映画が始まると、いきなり、3年前という字幕から始まります。
こんなのタイムトラベラーでなくてもいいたくなる。
いまはいつなんだよ。
しかもこの過去パートがなんの意味も果たしてない。たいていの観客は、まあどうせラストで現代の戦いと、初めて呪術師になる決意が重なり合ってクライマックスを盛り上げるのだろうと予想するでしょう。
しかし別にそんなことなどないのです。
ただただ主人公の日常パートがなぜか三年前に軸足を置いているだけで、一切物語にはかかわってこない。
それとやたらと挿入歌が流れます。ミュージカル憧れが強いのか。いくつか公式Youtubeに曲があるので聞いてみてほしいんですが、ワードセンス以前の作詞の下手さってあるんだなーと。
歌とは思えない接続詞の多さだったり、無理やり詰め込んだ譜割りの気持ち悪さ。海外のミュージカル映画の日本語翻訳でちょっと無理してるパートって一部分くらいはあると思うのですが、そこだけで構築されたような歌が延々と流れます。
そのなかでも白眉なのは、メインの塩子のテーマ。
呼び出すとやってくる。困った人たちが、なぞ儀式をすると、呪術師が召喚される。そのときくるぞーくるぞーって歌が聞こえてくる。もう、科学特捜隊か、すべてを捨てて戦う男でもできてきそうな古式ゆかしい歌が流れる。これは毎回笑いをさらっていきます。

まあ、完全に同じパターンが五回繰り返されるので、もちろん最後は完全に死んだ目で見るしかないのですが。
とにかく、本当に完全に繰り返しです。最初は女子高生が出てきて調子悪いなとおもったら、嫉妬した同級生に呪いをかけられてた。呪い返しだー、ここまでは、のろいかそれ、とも思ったのですが、次に、高齢者をだます詐欺師がでてきて、これも呪いだといわれ、どういうことなの。
人の心の闇が呪いを生むのか、呪われてるせいで犯罪を犯しているのかよくわからない。
しかも次に出てくる家庭崩壊の夫婦は、鬼がついているとか言い出して、ネット小説だってもうちょっとリアリティの水準を一律にするんじゃあないだろうか。
この作品の、援用的な意味での世界観も、団体の正式な意味での世界観もガッタガタじゃん。

特に顕著なのが、繰り返し展開のなかの一人に大学教授がでてくる、超自然現象はいさい信じない全部プラズマだ―って、いまどき懐疑主義の描写が昭和で止まっている。
ここの大学の描写がいろいろひどいんですけど、大学ではないユニバーシティの件でをまだ根に持っているのでしょうか。
そんな神を信じない教授と呪術師が対面して不可知論云々の議論をするのですけど、推して知るべしというか「お前ら不可知論は勝手に地獄に行くけど、間違ったことを大学で広めるな」だそうです。
定番の世界から争いが、創造主なんていないみたいな話になると、地球が生命が誕生するのにちょうどいい環境だとか言いながら、戦争がなくならない権を持ち出すと、試練に耐えうるようにと、真逆の論法を持ち出す。
都合のわるいことは全部試練だとかいうのなら、神は信仰を試すために無神論者をおつくりになられたのだから、もっと我々を大事に扱ってほしいものです。
っていうか、たとえ話になりますけど
友情を確かめるために、借金の保証人になってくれるかどうか試す友達とか、恋人が浮気するか確かめるために人をやとって誘惑させるようなパートナーがいたら、そんなやつとは金輪際付き合わないほうがよいと思うのですよ。

そして、最後に登場するのは、調子に乗って女性を騙す、製薬会社の御曹司。って色々雑じゃないか、神の議論の方が主題としてクライマックスにもってきたほうがいいんじゃないか。
ちょうど繰り返しに飽きてきた頃になんか敵が格下げされて出てきた。にしても社長の跡取り息子で、金儲けを批判はしないあたりに、団体の本質が見えているような。
ほんと、この大した論も持ち合わせていない雑魚を登場させて、それを論破してホクホクしているのを見せられて、外様を懐柔できるなんておもっているのか。
いや、それも誤解だろうか。
てっきり、部外者を教化する目的がある程度あるのかと思っていたけど、結局は内輪で、無神論者や異教徒がひどい目にあうさまをみてほくほくするためだけの映画なわけです。
学芸会といわれるゆえんですね。
自前の事務所が主演なので、娘の発表会を見るようなものでしょう。過去作の主演役者が何人か事務所をやめてるのがちょっと怖いですけど。結局は、異教徒は全員間違っていて、我々が正しいという内輪のイベントに過ぎない。映画のストーリーにも現れていて、呪いを解いたあとは、その人物は一切登場しなくなるので、人を救いたいのではなく、断罪したいというのが本音でしょう。

いくらなんでも、マッチメイキングで雑魚を呼んでも試合はもりあがらない。
タダで見れるなら、一見の価値あり、って言いそうになったけど価値はないな。観光に行くまでもないけど、電車が通り過ぎる。窓越しに見てみるといいよレベル。
だから配信の見放題に追加されたら歌だけでも来てみるといいよ。って感じ

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