『バグダッド・カフェ』見たよ。

名前だけ知ってるシリーズ。

まったく知識もないままに、ミニシアターがチヤホヤされたころの時代の徒花という印象があった。
見始めると予想通りになんかよくわからない気取った画角ではじまって、なんの効果なのかよくわからない斜めアングルが多用されてたりと印象がよくない。

そんな始まりだったけどめちゃくちゃ面白かった。
アイドリングが長めだったけど、話がわかり始めてからは面白く見れた。
まず最初に登場する外国人女性は主人公ではなく、彼女が訪れたモーテルの店主の女性の方が主人公。
モーテルの切り盛りと子育てに四苦八苦していて、周囲にきつく当たる人。
『欠乏の行動経済学』にでてきたやつだ。と思った。
欠乏状態。ジャグリングと言われる、あれをやってこれをやってと急かされる状態。不安要素への懸念が、処理能力を下げてしまい、完全に解決されないまま、全てが応急処置になってしまう。

欠乏状態さえ回復できれば、ちゃんとした処理能力でひとつひとつの仕事ができるので、作業時間もへるし、メンタルにしわ寄せがこなければ性格も穏やかになれる。

そんな欠乏状態の店主のところに、それを回復してくれる魔法使いが現れる。
そんなお話。
別に魔法とかでなく、現実的に、モーテル業務、やダイナーを手伝うだけ。
一点だけでも作業を解消すると、そこから処理能力に余裕が生まれ、すべて好循環が得られたりもする。

ちょうど読んだ本の内容とマッチする展開に終始膝を打ちながら見ていた。どんどんと表情が柔らかくなるCCH・パウンダー演技も素晴らしい。
一度状況が回復したら、それを維持する力も身につけやすくなる。もし異邦人が去っていくことがあっても、魔法が解けることはないだろう。

ちゃんと名前が残るだけのことはあるいい映画だった。

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