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GCPの歴史 vol.2

続きです。

2013年 GCPに統一

2008-2013年にかけて次々に登場したPaaSnoGAE、BlobストレージのGCS、RDBMSのCloudSQL、データウェアハウスのBigQuery、IaaSのGCEなどのサービスはしばらくの間別々のサービスとして存在していました。2013年にこれらのGoogleのクラウドサービスをまとめてGCPという名称で提供されるようになりました。また、この時期からGCPのコンソール画面も新しくなり、各サービスが一つに統一されていくようになりました。

2014年 GKEのリリース

2014年以降は、コンテナやビッグデータ、機械学習などが注目されるようになりそれを扱うための新しい技術が必要となってきました。
2013年にDocker0.1がリリースされそれから1年もしないうちにDockerフィーバが起きました。従来のシステムではアプリの実行環境の依存関係や制約が多く、テスト環境でデプロイできても本番環境ではデプロイできないなどの問題がありました。さらにオンプレミスからパブリッククラウドに移行する場合は環境を最初から作るという手間が発生していました。
コンテナを使うことによってアプリのコードとの依存関係やインフラなどの環境をひとまとめにすることができ、テスト環境でも本番環境でもオンプレミスでもパブクラでもデプロイ可能となり実行環境の移行が容易になります。一方、Googleは正解がコンテナ技術に注目し始める10年以上も前から独自のコンテナ技術を使ってクラウド運用をしていました。コンテナ技術に自信のあるGoogleはたくさんのテクノロジーを提供しておりその一つとしてKubernetes(以下K8s)があります。

Googleは10年以上にわたるコンテナ運用技術の中でBorg(2015年に論文公開)というオートストレーションツールを開発しました。そのBorgをもとにしてDockerコンテナに対応させたものがK8sです。Googleのコンテナ技術がそのまま詰まっているK8sはオーケストレーションツールとして注目され、2017年にDocker社がK8sをサポートしたことから現在のデファクトスタンダードとなっています。

そして2014年11月にGoogleはGKE(Google Kubernetes Engine)をリリースしました。GKEはコンテナのフルマネージドサービスとなっていてGCP上でK8sを最適化して提供します。オーケストレーションやクラスタ管理はK8sに基づいて管理されており、ComputeEngineのインスタンスとリソースを使用しています。またGKEではK8sマスターは隠蔽されており料金も発生しません。さらにGKEに関するサービスとしてGoogle Container Builder(現CloudBuild),Google Container Registryがありコンテナイメージの作成と管理をサポートしてくれます。

2014年 企業買収とその成果

Googleが多数の企業を買収しているのは有名な話です。
これまで実に200以上の企業を買収しています。その中で特にGCPに関係するいくつかの会社を2014年に買収しました。
まず、統合監視サービスのStackDriverを買収し、2年後の2016年にGCPのサービスの一部として統合しました。StackDriverはReporting,Monitoring,Debugger,Trace,Loggingの5つのサービスによって構成されます。マルチクラウドに対応していて、GCPとAWSをサポートしています。もともとがGCP固有のサービスとして作られたわけではないため汎用的な作りになっていますが買収されたことによりCompute EngineやAppEngineなどのGCPのサービスが簡単い監視できるように機能が強化されました。

次にモバイル、およびWebアプリのバックエンドサービスでもあるFirebaseを買収しました。Firebaseはクラウドサービスの形態ではmBaaS(mobile Backed as a Service)に位置付けられます。Firebaseを使うことで開発者はクライアントアプリの開発に専念できるようになります。DBサーバを用意してDBにアクセスするためのAPIサーバの構築や認証を行うといったバックエンドで動くサービスを作成し管理する煩わしさから解放されます。Firebaseはもともと独立したサービスでしたがGCPの仲間入りをしたことでGCPの多くのサービスと連携して使えるようになっています。例えばCloudFunctionFor Firebaseを使えばイベントドリブンな処理が実行でき、CloudFirebaseMassageと連携すればサーバープッシュすらサーバーレスで実現できます。
Firebaseの強力な武器であるRealtimeDatabaseはCloudFirebaseに置き換わり、さらに2018年に発表されたDatastoreモードはCloudDatastoreに置き換わるサービスとして注目されています。このようにGoogleがFirebaseを買収することでGCPのほかのサービスとの親和性が高まっただけでなく、もともとあったFirebaseの機能も強化されたのです。

そのほかには機械学習のDeepMind社を買収したのもこの年です。2014年にはビッグデータやデータサイエンティスト、機械学習などがバズワードとなっていました。Googleは既存のサービスにも積極的に機械学習を取り入れています。例えば日々賢くなるGoogle翻訳、Gmailのスパム判定、GooglePHおとの画像認識などは機械学習のテクノロジーが支えています。また、GoogleはTensorFlowをオープンソース化するなどでコミュニティでも活躍しています。


まだまだ続くよ歴史会。ただ、バックグラウンドを知ることはGCPについて詳しくなるうえでとても重要だと思うのでしっかりと見ていきたいと思います。

私の常日頃の生活をベースに、皆さんの役に立てたり、探しているものを紹介できたらと思っています。今後もよろしくお願いします!