皆が新生活を迎えた4/1、私は無職になった。

noteを始めて3年が経っていた。
おめでたいと言わんばかりの事務局からのメッセージ、だがしかし私がnoteを久しぶりに開いたのもまた、3年ぶりになる。

映像業界に入って3年、あまりの自分の理想の叶わなさと人や会社との巡り合わせの悪さに辟易してしまった私は、後を決めずに3/31付けで勤めていた会社を退職した。
天候も暖かくなり、芽吹く季節を祝うように咲き誇る桜が舞う春。世間では新生活を迎えた人々や、彼らにエールを送る人々で溢れていた。
そんな中私は晴れて、無職になった。

ぐうたら過ごしていたら1週間は過ぎたわけだが、取り留めもなく日々が溢れていくのが勿体無い気がして、日記を書こうと思う。自分が見て、感じて、考えることが、自分の未来の血肉となるように。

無職になって1週間、アラームの鳴らない目覚めにも慣れてきた。何度寝目かもうわからないくらい寝ていた私は、自分の腹の虫の音で起きた。
無職になっても腹は減る。顔も洗わぬまま近所のスーパーに駆け込み、大好きな大きな鮭弁当(made by maruetsu)を買って、わくわくした気持ちで家路に着く。周りは住宅街のためとても穏やかで静かだが、老若男女のわいわいとした声が聞こえてきた。

「入学おめでとうー!」

着慣れない小さなスーツを着た男の子が恥ずかしそうに立っている。どうやら今日が入学式だったらしい。おそらく小学生だろう。彼の両親や祖父母、兄弟が彼を囲み、門出を祝っていた。

その近くにいた私は、微笑ましい気持ちもありながら、こんな素晴らしい日に寝起き姿の大人を目に入れるのもなんだか申し訳なくなってしまい、足早に通り過ぎた。晴々とした青空だった。

春は祝いの季節のイメージが強い。春を題材にした曲なんかでも力強く前向きな雰囲気のものが多いが、人生悲喜交々、毎年そうも言ってられないものだ。
中2の頃、クラス替えで仲の良い子たちと離れ離れになってしまい、馴染めそうにない周りとの距離感にひどくおちこんでしまったことがある。
そんな憂鬱な気持ちに寄り添ってくれたのがスガシカオの「桜並木」だった。

中学生が聴く曲にしては渋すぎるが、当時ポルノグラフィティが大好きだった私は、昭仁さんがおすすめしていたスガシカオにもすっかりハマってしまい、友人にオーガスタ好きがいたこともあり、全アルバムを借りてウォークマンに落とし込んでいた。
初めて聴いた時は、折角桜の季節の曲なのに随分暗い曲だなぁと思ったものだ。まさか助けられるなんて露とも思わず。

はじまりの朝はいつでも
ぐずついた空模様
慣れない制服も黒い靴も
破り捨てたいくらいに重い

スガシカオ/桜並木

ピアノのどっしりした音とこのフレーズから始まるこの曲。歌詞も曲調も決して明るいとは言えないが、聴き終わるとふっと心が軽くなるようなそんな気持ちにしてくれる、不思議な曲だ。

高架下をくぐりぬけて
誰もいない堤防に沿って
ぼくが選ぼうとしてる未来へ
桜並木をくぐって
心にすっと日が射した
遅刻してしまうと
かすんでしまうから

スガシカオ/桜並木

私の好きなスガシカオの曲は、どろっとしていて、触ったらひやっと冷たいような、そんな曲が多い。でも彼の魅力は、代表曲のProgressや夜空ノムコウからも読み取れるように、暗い場所からも小さい光がみえる、人生の絶望も希望も一緒に届けてくれる部分にあると思う。いやホント、スガシカオってすごいんですよ。初期アルバム5枚は何度も聴いたなぁ…

ちなみに上記の歌詞の中で遅刻したらかすんでしまうからと言われていたにも関わらず、その後学校で遅刻を繰り返すようになった私にはその教訓は伝わらなかったらしい。遅刻なんてしないほうがいい、春に無職になってものうのうとしてる人間になっちまうよ。

あの頃使っていたウォークマンは実家の押し入れに放り込まれている。久しぶりに桜並木を聴きたくなった私はApple Musicで検索をかけた。
最近は選んだ曲が流れ終わった後にランダムで関連のある曲を流してくれる仕様になっている。久しぶりに桜並木を聴いてしんみりした気持ちになっていると、

次に流れてきたのは槇原敬之の「まだ生きてるよ」
笑わせないでほしい。しかもめちゃくちゃ良い曲やんけ。今度カラオケで歌お。

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