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群雄割拠のWJBLを制すのは?~女子バスケのミカタ~

年度の終わりも近づき、他のバスケットボールリーグに先立って佳境を迎えるWJBL(バスケットボール女子日本リーグ)。

先日、セミファイナルを終え、激闘の末にENEOSサンフラワーズトヨタ自動車 アンテロープスがそれぞれ勝ち上がり、3月20日から開幕するファイルで今シーズンの優勝が決まる。

そのセミファイナルの第1戦について、私も現地で観戦してきたため、その感想、今期のWリーグ、女子バスケ及び女子スポーツの未来について所感を述べていきたい。

1.白熱の1戦 ENEOS VS デンソー

はじめに断っておくと、私は女子バスケは代表戦とBリーグもNBAも学生バスケもやっていないときにWリーグの試合を見る、くらいしか見ない。おそらくWリーグファイナルとBリーグのレギュラーシーズンが重なろうとも、Bリーグのレギュラーシーズンを優先して観る。(カードにもよるかも知れないが)

なぜかは考えたこともないが、ざっと思いつく理由としては、男子の試合のほうが見やすい環境があるし、放送も多く、知ってる選手も多い。プレーも派手なプレーが多く、とっかかりやすい。また、自分にはないと思いたいのだが、スポーツは男子がやるのを観るもの、という先入観があるのかもしれない。

別に女子スポーツが嫌いなわけではないが、やはり自分の中では男子カテゴリーのほうが興味が強いのだ。

3/14にWリーグのセミファイルに向かったのは、理由はいくつかあるが、

①前日が天皇杯であり、男子の試合がなかった

②改装後の代々木第2体育館に入って観戦したかった

③たまには女子も見に行こうという義務感に近いもの

が挙げられる。代々木第2体育館でのバスケ観戦体験は、なかなか国内では特殊なものであると感じている。「小型アリーナ」という表現がふさわしいと思っていて、コートが浮き立つように向けられた照明と、360度にバスケットコートを囲むように設計された観客席はまさに日本バスケの聖地と呼ぶにふさわしい。(もう少し大きければ申し分ないのだが)

少し前は足繁く通っていたのだが、最近は改装工事がありしばらく代々木方面に行く機会が減ってしまったが、改装工事が終わって、久しぶりに行きたいという思いからついにチケットを買った。

きっかけといえばそのくらいではあるが、見に行った試合がお面白かったので大儲けである。

WJBLといえば、近年は黄金時代を築いており目下リーグ11連覇中となっている。

今年は前人未到の12連覇を目指して戦う。(正直このカウント、東日本大震災や去年の中断もあり、微妙でもあるがいろんなところでそう言っているので間違いないだろう)

近年は強力なロスターを揃え、圧倒的な力でリーグを席巻してきた。

しかしここ数年、主力の離脱が相次ぎ、極めつけは12月の渡嘉敷来夢選手の離脱により、ENEOSは数年で最大の窮地に立たされたと言っていいだろう。

そしてもちろん他のチームは、「今がその時だ」とばかりに王座を狙う状態となり、WJBLは近年で一番混沌としていると言えるだろう。

その一翼を担うのが、今年日本代表のフォワード・本川紗奈生選手らを獲得し、エースの髙田真希選手らが悲願の初栄冠を狙うデンソーアイリスである。

長年ENEOSのストロングポイントであったインサイドで逆にアドバンテージを取れるようになったと思えたデンソー

試合はたしかに髙田真希選手がゴール下で暴れまわった。

しかし、女王の意地と言うだろうか。ENEOSは簡単には倒れなかった。

吉田亜沙美選手、藤岡麻菜美選手が引退したあとに即位?する形で正PGに就任した宮崎早織選手が持ち前のスピードと3PTで相手を翻弄し、デンソーに傾きそうな流れを岡本彩也花選手の得点で引き止め、肩の故障で本調子ではないものの宮澤夕貴選手がプレータイムを抑えながらも日本代表ここにありという活躍をした。

しかし、デンソーも黙っていない。

稲井桃子選手がチームを確実にリードし、10ast赤穂ひまわり選手が得意の走りから得点を重ねて、そして髙田真希選手がインサイドを支配し、32得点。長年代表で活躍するだけあり、「並ではない」ことを知らしめた。

そして終盤、終始デンソーがリードし、一時は15点差程度まで点差が広がり、このまま第1戦はデンソーがモノにするように思えた。

しかし、ENEOSは終盤の粘りが凄まじかった。

「負けてなるものか」という強い意志を感じるプレーでじわじわと追い上げ、デンソーのミスを誘発。

そして、宮崎選手が3PTを沈め1点差、高田選手がファールゲームのフリースローをまさかの2本落とし(それまでは8/8)、セットプレーからキャプテン岡本選手が見事なファールドローでフリースローを獲得して逆転。

それぞれの背景を踏まえつつ、バスケットの面白さが凝縮されたような試合であった。

冒頭で述べたように女子はあまり見る機会が多くないのであるが、やはり生観戦でこういった試合を見ることができることは興奮するし、それぞれの背景があるチームだからこそ、それに沿ったストーリーが有り、面白さがある。それを体験できたような観戦経験であった。

2.女子バスケのススメ

Wリーグは現状、Bリーグに比べてファンも少なく、メディアの扱いも少ない。

おそらく世界どこを見ても男子のリーグのほうが注目度が高く、女子のほうが人気は少ない。

同じ競技をする以上、体躯の大きく身体能力のある男子のスポーツに注目が集まるのは、BリーグよりもNBAのほうが迫力があるのと同じように自然なことである。これは別にバスケットの限った話ではない。(よく言われる「女子のほうが男子よりも国際競争力が高いので、女子のほうが取り扱われるべきだ」的な論調は、私は的を射ないと思っている)

しかし、NBAよりもBリーグが好きな人がいるのと同様に、Wリーグが好きな人も多いはずだ。では、どうしたらこれからWリーグや女子スポーツの人気が上がるのかを簡単に考えていきたい。

1.エヴァンゲリオンに学べ

どんなスポーツでも、それ自体をただ観るのも面白いが、その選手やクラブにどんな背景があり、そのときに各参加者が何を考えているのかを推測しながら試合を観るのは、その魅力をより引き上げる。

先程述べたENEOSデンソーを例に上げると、ENEOSは泣く子も黙る強豪であり、デンソーは悲願の初優勝を狙っている、渡嘉敷来夢選手が怪我で離脱となり、オフにはチームの主軸が大きく抜けて、ENEOSは今年の優勝が危ういという背景・ドラマを知っているからこそより楽しむことができた1戦に思うのだが、知らなければただのダンクも2メートルの選手もいない試合になってしまう。(こういう大逆転試合は単純に見てて面白いと思うけど)

単純に競技だけで勝負したところで男女の体格差を覆すことは難しいため、そういったコンテキストを大事にした試合づくりが大切であろう。じゃあそのためには?というと、ゲームの前後が大切になってくる。

選手やチームの背景にフィーチャーした記事を読んだり、セットプレー一つの意図を後から振り返ったり、それを解説したり…

エヴァンゲリオンに学べというのは、アニメ「エヴァンゲリオン」は熱心に何度も映像を見返し、聖書関連の書籍を読み漁り、他の関連するアニメも見たファンが考察サイトや動画を上げることで、それを見て勉强したファンが面白く鑑賞できるという仕組みである。これは批判を呼ぶかも知れないが、本編見ただけじゃ訳が分からなくて見れたものではない。

こういった「二次創作」的なものが溢れているコンテンツに学ぶべきものがあるのではないだろうか。Wリーグはプロリーグではないし、収益を第一義としておらず、予算等のリソースも限られていると思うが、ファンや周囲がそういった二次創作的なコンテンツをたくさん生み出し、歴史や意図からそれぞれが思うことがあるようになれば、それはリーグ全体としての魅力も増すのではないか。

2.強い内輪感はどうするべきなのか

生観戦したて思ったのは、どちらかというと「Bリーグよりも大学バスケに雰囲気が近いな」というものであった。

これは別に提言でもないのだが、観客には「関係者」が多く、「関係者」でもなく「ファン」でもない私はなんか見にくいなあと思った。大学バスケも、インカレならまだしもリーグ戦に行くと客なんてほとんどいないので観客としての私は疎外感を感じる。ファンが増えれば自然となくなるのでどうしろというわけではないが、それを感じやすいため黙って遠くの席から腕を組み、「うんうん」と頷くしかない。あたかも選手の彼氏かのように

あと個人的にはコートネームは外向けに言うのやめてほしい。

3.戦術オタクに届け

女子の試合は無慈悲なダンクも無ければ、理不尽なプルアップスリータフすぎるフェイドアウェイも少ないため、個人の突出した技術で攻めることは少ないため、戦術が本当に緻密に組まれている。特に、3PTを打ちたい場合は打点が低いことからよりオープンな状況を作らなければならない。

そのための戦術は、戦術をYoutubeやTwitterで解説してくれるありがたいオタクにはうってつけの素材だと個人的には思っている。

3.偉そうな提言

「どうせ収益化目指さないなら動画の転載や加工認めて一般の人に広めてもらえばいいのに」

今や誰でも文章書いて、画像編集して、絵を描いて、動画作ってアップロードできる時代。

運営側にリソースが足りないなら、一般の人にやってもらえばええやん。

と、色々なリスクを考えずに適当に偉そうに言っておきます。

3月20日からWJBLファイナル!!

絶対見てくれよな!

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