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【告知/第3話 後編】POP UP STORE "音標本箱"

POP UP STORE "音標本箱" シリーズ第3話 後編では、クリエイター達がどんな音を標本化しマテリアライズしたかについて語る。

ND3M Creator 003 "Ryosuke NAKAHARA"

Nenrin

「ヒノキの切削音の音標本」
木を介した体験はいつでも豊かだと感じます。木ごとに異なる特性を知りながら、手の中で微調整しつつ加工していくその歩み寄りが私は好きです。そこで、木のアイデンティティをどう表現するのかを考え、年輪と切削に着目しました。年輪は、目に見える木のアイデンティティです。年輪に対して、目に見えない木のアイデンティティに対する歩み寄りを転写することで、何か体験の豊かさを示唆できないか?そこで、音を伴う魅力的な体験として切削に着目し、音標本の技術を用いてコースターを制作しました。採取する音には、私が好きなヒノキを切削する瞬間の音を選択。年輪×音、一点もの×一点もの、による掛け合いの魅力を感じてもらいたい作品です。

「僕にとっての音標本とは?」
音標本とは、私たちが日々経験するさまざまな瞬間を捉え、その儚さや一期一会の美しさを形にする手段だと考えます。感覚することでしか知覚できない事象を、あいまいな物質として可視化することにより、感覚への意識を高め、その瞬間の貴重さや鮮やかさを再認識することが音標本のいいところです。標本化することは、日常の些細な出来事と、非日常の特別な瞬間とを、共に等しく貴重な体験として捉え直すきっかけとなります。誰にでもある、日常・非日常を問わない瞬間を標本として集めるその一連の体験が、私にとっての音標本です。

ND3M Creator 004 "Kenichi SEN"

Set on sound candle

「パッヘルベルのカノンの音標本」
携帯から聞く音楽とホールで聞く音楽が異なるように、演奏者と聴取者でも音の聞こえ方が異なる。
この音は演奏者側で収録した音である。それをキャンドルの外枠とすることで、中で燃える炎が演奏者の曲に対する熱い想いを想像させる。
また段々と減っていく蝋と中の炎が外側の音の波をより一層際立たせる。
選んだ曲は誰しもが一度は聞いたことのあるパッヘルベル作曲の「カノン」である。辛い時や楽しい時、落ち着きたい時、どんな場面でもその人の心情に寄り添うこの曲を私なりの気持ちを込めて演奏した。

「僕にとっての音標本とは?」
音を波形として物質化し、手に触れるようにすることで人々と音に新たな関係性を生み出すための媒体。音楽が好きな人、音楽をやっている人などが自分の好む音を形状化することでプロダクトに愛着をもてるような、そしてあわうそんな技術。

ND3M Creator 005 "Takehiro WASHIMI"

otonami

「豊橋の海の音の音標本」
私がよく通う場所の側には海があります。
そこでは七根海岸からの海風が日常的に吹いていますが、自分の周囲では海へと足を運ぶ人は意外と少ないように感じます。「実際に体験する」という行為に関して、我々Z世代は確かに疎くなったのではと思うのです。豊橋の海へ出て、音を記録して具現化する。作品だけでなく、この活動自体が誰かを海にいざなうものとなれば良いと思っています。

「僕にとっての音標本とは?」
音は目に見えませんが、人の生活に対して視覚以上に大きな意味を持っています。たとえ、耳が感じ取れない範囲の音でさえ、臓器には振動として伝わっています。これは建築を学ぶ人間なら誰でも知っていることであり、光や音の環境デザインで学びます。「普段、見えないけど感じているもの」それを形にすることは、人が意識下で真に美しいと感じるデザインを目指す上で確かな道しるべとなると思っています。

本企画では5名のND3M クリエイターと、1名のコラボクリエイターの6名の作品が並ぶ。前編で紹介した3名の作品もぜひ拝見してください。

POP UP STORE
日時:2024年4月27日(土)〜4月28日(日) いずれも10:00〜18:00
場所:gallery yururi
東京都目黒区緑が丘2-7-13(東急東横線/大井町線 「自由が丘駅」から徒歩約7分)事前予約:不要

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