感覚的に体を動かしてデザインする試み②

今回は、EMARF学生アンバサダーとして取り組んでいる地獄組取付プロジェクトと関連して、株式会社DIXのオフィス3階で使用される家具の中でも「作業着掛け」を制作していく。

第1弾では「参加型ワークショップ」にするための実装方法やシステムをブレストしていったことをまとめた。今回は第2弾として、実際にデザインをしていきEMARFで発注するところまでのノウハウを共有する。

0. 前回までのおさらい

やりたいこと
オフィスの社員さんが使用する作業着かけを作りたい
「形」を幾何学やパラメトリックな形態にしたい
利用者(DIXの社員さん)が参加型形式でデザインを決められるようにする

こういったやりたいことを実現するため、arduino、zigsimなどでセンサー値を取得し、「お辞儀をするとモデリング上の部材も曲がる」などというように感覚的に体を動かしてデザインをすることを目指した。

1. モチーフを形に。形をシステムに。

「感覚的に体を動かしてデザインすること」というテーマに添い、「人体」をモチーフにした。

スケッチレベルだったものをパラメトリックに基準となる曲線を操作できるようにしていくことで、センサー値で形状を変えられるようにするシステムづくりを目指した。

2. クライアント打ち合わせ

打ち合わせでは、「この作業着かけが置かれる場所」の話になり、
・天井意匠の地獄組に負けないデザイン
・構造的に安定感がでるように
という2点に着眼点をもうけた。

3. スタディ集

ここではクライアントと打ち合わせをして得たことをもとにデザインを見直していく。GH上での操作だけではなくその上からスケッチをもとに、形やセンサー値を反映させるディフィニションそのものを見直していく。

スタディNO.1-4
「作業着を2段かけるとしたら上段と下段の服が当たってしまうもしくは接地してしまうのでは」という気づきをもとに改善していく。
スタディNO.5-8
「足元が広がりすぎてスペースを取りすぎてしまうのではないだろうか」という気づきをもとに改善していく。
スタディNO.9-12
「たたずまいが美しいかどうか」をもとにパラメータを操作し複数パターンを作りスタディしていく。
スタディNO.13-16
「安定感と美しさ」を出すために部材の幅を調整していく。

最終的にまとまったプロポーションが下のレンダリングだ。

画像1

4. EMARFでの発注


多くのスタディを経てプロポーションが決まり、EMARFで発注するためにデータを読み込ませる段階になった。
EMARFで発注するためにはCNCで切削できるように入隅になっている部分を穴にする必要があるが、そのためにEMARFのRhinocerosのプラグインでemFilletをかける必要があり、そこで問題が発生した。

CAMに問題が発生しました:NoneType'object is not iterable

というエラーが発生し、EMARFに上で3パーツ中2パーツが読み込まれず、読み込まれる1パーツでさえも読み込まれるもののデータの一部が正常に読み込まれないという状態であった。

ツイートにも書いてありるが、僕らが行った対処としては

・meshコマンドでメッシュに直してから再度MeshToNURBポリサーフェスに直す
・法線方向の確認
・曲線からExtrudeコマンドを使って作り直す
・booleanでパーツをくりぬいて、そこからCurveを作りExtrude
・他の形式で書き出して、再度インポート
・checkコマンド

だ。

このようにいろいろ試したが結局同じエラーが発生し解決はしなかった。

最終的には、fbxでモデルを書き出し、Cinema4Dのメッシュチェック機能を用いることで、いくつかの場所に非平面メッシュの存在が確認されました。

これをCinema4Dのナイフツールで分割し、すべて正常な三角形ポリゴンに修正し、再度Rhinocerosに読み込んだところ無事EMARFに読み込むことができた。

まとめると

CAMに問題が発生しました:NoneType'object is not iterable

が発生した場合はEMARFにアップロードする3Dモデルに問題がある可能性が高い。
エラーの原因となるメッシュの問題は各種3Dモデリングツールのメッシュチェック機能を利用すると発見できる。
メッシュの不具合を発見したのちにナイフツールなどで問題を修正し、再度fbxなどで書き出しRhinocerosにインポートしてMeshToNURBコマンドでポリサーフェスに戻すことでEMARFにアップロードすることができる。
ただし、1種類のソフトではメッシュの問題を発見できない場合があり、その場合は複数のソフトでメッシュの不具合を確かめる必要がある。
メッシュチェックを使えるソフトは
・Rhinocerosの Checkコマンド
・cinema4dのメッシュチェック
・blenderのMesh Analysis
が挙げられる。

5. まとめと次回予告

今回は実際の作業着掛けのデザインとEMARFへの発注までを行った。
次回はEMARFから届いた部材を実際に組み立を行う。


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