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創業100年目の「むさしや菓子店」洋菓子を担う、まちのつくり手・牧野浩久さん

ものづくりのまち、新潟の三条には、多くの工場が集まり、 そこでは、たくさんの「つくり手」たちが活躍しています。しかし、ここはものづくりだけのまちではありません。個性豊かな事業にチャレンジする若者や、 これからの地域を担うような活動も多く存在しています。

そこで、SANJO PUBLISHINGでは“編集するまち”をコンセプトに、ものづくりのまちに必要な力、知識を得ること、想像すること、つなげること、つくること、磨くこと、続けることをまち全体で育むことができるよう。三条に居る「つくり手」たちの取り組みをお伝えします。

北三条駅から徒歩で7分。五十嵐川にも近く、昔ながらの建造物が残る三条市の中央商店街には長らく続くお菓子屋さんが点在しています。

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とくに、和菓子を提供するお店が多く、地域と密接に関係をもち、まちのシンボルとして通い続ける人たちもいるほど。そのお菓子屋さんのひとつが、2021年に創業100年目を迎える「むさしや菓子店」です。

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私たち『SANJO PUBLISHING』は、むさしや菓子店さんの向かいに本屋を構えさせてもらい、オープン当初から足を運んでくれたのは、むさしや菓子店洋菓子部門の牧野浩久さんです。

牧野さんとわたしたちは、共同企画として4月30日に『ボンボンショコラ』を発表します。私たちは、つくり手として、牧野さんがお菓子づくりに対しどんな想いを抱いているのかをお聞きしました。

むさしや菓子店を残すために洋菓子の道に

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『むさしや菓子店』は、1921年に創業した和菓子と洋菓子を製造・販売するお店です。牧野さんは、和菓子を製造する両親やパートさんと一緒に、日々お菓子をづくり続け、自身がおいしいと納得できるお菓子をお客さまに届けています。

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「お菓子がもともと好きだった」そう、お菓子づくりの世界に飛び込んだきっかけを語りながらも、「長く続く実家を残すために」ともつけ加えてます。

牧野さんがこれまで歩んできた道のりを振り返ってもらいました。

高校を卒業したあと、東京で10年にわたって生菓子づくりや焼き菓子づくりを修行し、さらなる研鑽を積むために単身フランス・ロレーヌ地方へ。フランスの歴史で育まれたチョコレート文化。修行先となるショコラトリーで食べたショコラのおいしさにとても驚いたそうです。

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「ショコラは、とくに温度管理がむずかしい。夏場は気温で溶けてしまうし、冬場は冷えすぎて硬くなりすぎたり。チョコレートがもつ本来の輝きを生み出すためにも厚くならないように、手早く仕上げることに苦労しました」と、当時の苦労を思い出すいち場面も。

本場で学ぶショコラの味、そして親方から何度も繰り返し伝えられた「しっかり焼くこと」「おいしいものをつくること」を胸に、地元三条へと帰ってきました。

むさしや菓子店の歴史を背に、お菓子をつくり続ける

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むさしや菓子店で洋菓子づくりに励む牧野さんは、ひとつ心に決めていることがあります。

「今まで続いてきたものを大切にしつつ、新しいものをつくる」

『むさしや菓子店』では、和菓子と洋菓子が同じ場所でつくられています。工場には、代々受け継がれてきた和菓子の技と知識、その隣で牧野さん自身が身につけた洋菓子の技が披露される独特な空間が広がっています。

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100年目を迎えるむさしや菓子店、そしてこれからの未来をつくろうとする牧野さんの活躍に目が離せません。

「三条に戻ってきてからも、あたらしい材料に出会うと創作意欲が高まるんですよね」そう屈託なく笑う牧野さん。

『SANJO PUBLISHING』と共同企画した『ボンボンショコラ』。季節の素材を生かして、どう風味と食感をつくっていくかを話し合うときが一番心躍っているようにみえたのは、牧野さんが生粋のつくり手だからだろうと感じました。

SANJO PUBLISHING 制作部

むさしや菓子店  
住所:三条市本町2丁目9-23
営業時間:9時から19時まで(定休日:水曜日ほか不定休有り)

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