見出し画像

あけゆく朝を愁う

夜は
視界を閉ざし 眠りをさそい
母のようなおおらかさで
帰っておいでと言う

宇宙も
無限の空想も
昼のうちにはやってこない

夜にこそありありと姿をあらわす
本来の故郷
帰るべき墓標

朝は白々しくやってきて
故郷を追いやってしまう

一体となっていた影を
剥がして
仮の姿を照らし
あたたかく褒めたたえる

帰り道を忘れてしまわないだろうか
夜の声を聞く耳が 目が
光にぼやけてしまわないだろうか


あけゆく美しき朝を愁う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?