事業部と研究所の技術者の業務の違いについて

事業部と研究所で働く技術者に求められる素質は、それぞれの目標と役割により異なります。詳細を展開すると以下のようになります。

事業部で働く技術者:

事業部では、製品やサービスを市場に投入し、利益を生み出すことが主な目標です。製品の開発と展開には時間と資源の制約があるため、効率的で実用的な解決策を提供する能力が必要となります。そのため、事業部で働く技術者には以下のような素質が求められます。

• 実用的思考: 技術者は理論的な知識を有するだけでなく、それを具体的な製品やサービスに適用する能力、つまり実用的な思考が求められます。彼らは技術的な問題だけでなく、製品の製造コスト、ユーザビリティ、規制など、実世界の複雑な要素を考慮する必要があります。

• プロジェクト管理: 製品開発は通常、期日を設けて行われます。したがって、スケジュールの管理、人員と予算の配置、リスクの評価と管理など、効果的なプロジェクト管理能力が重要となります。

• コミュニケーション: 技術部門だけでなく、営業、マーケティング、製造部門など他の部門と協力して製品を開発するため、優れたコミュニケーション能力が求められます。これには、自分のアイデアや提案を他人に伝えるプレゼンテーション能力や、他人の視点を理解し適切に反応するためのエンパシーも含まれます。

• QCD（品質、コスト、納期）の遵守: 事業部で働く技術者は、製品の品質を確保し、製造コストを制御し、納期を遵守することが求められます。これらの要素は、製品の競争力と顧客満足度に直接影響を与えるためです。

研究所で働く技術者:

一方、研究所では、新たな技術や知識を創造し、将来的な製品やサービスにつながるイノベーションを生み出すことが目標です。研究活動は長期的な視野と高度な専門知識を必要とするため、研究所で働く技術者には以下のような素質が求められます。

• 創造性: 技術的なブレークスルーはしばしば新しい視点やアプローチから生まれます。したがって、研究者には新たなアイデアを思いつき、それを実現するための創造的な思考が求められます。

• 論理的思考と解析力: 研究は、新たな仮説を立て、それを系統的に検証するプロセスです。そのため、研究者には論理的思考と解析力が求められます。これには、情報の収集と整理、問題の定義と分解、結果の解釈と評価などが含まれます。

• 長期的視野: 研究はしばしば長期的な成果を目指します。そのため、短期的な結果に囚われず、長期的な視野を持つことが重要です。研究者は、自分の研究が社会や技術の発展にどのように貢献できるかを常に意識する必要があります。

• 自己主導性: 研究所では、技術者自身が問題を見つけ、その解決策を探求します。これは、研究者が自己主導的であることを必要とします。これには、自分自身の学習を管理し、不確実性を乗り越えるためのリスク管理、そして自分の研究活動を継続的に評価し改善する能力が含まれます。

以上のように、事業部と研究所で働く技術者の役割は大きく異なり、それぞれに特有の素質が求められます。しかし、どちらの環境でも、技術者には柔軟性、学習意欲、持続力、そして高い専門性が求められることは変わりません。