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問題と原因と課題の区別はできているか?

今日は新規事業を考えたり、仕事の中で顧客に向けて何かを行う際に必ず必要になるであろう考え方について書いていこうと思います。

問題と原因と課題の区別はできているか?

私がこの3つの関係性について意識したきっかけは、就職活動の中で新規事業立案を行ったときに、常に「誰の何の課題に取り組むのか」を耳にタコができるほど、言われたからでした。

新規事業をいきなり作れと言われ、課題が見つからないで悩んでいた私はなんとか「誰の、どんな課題に」をクリアにし、インターンを終えたもののどこか課題の見つけ方や課題そのものについて腑に落ちていない感じがしました。

ボヤ~と反省も踏まえて帰りの機内でペンを走らせていると、パッと大学1年生の時に受けた授業で誰かが言っていた言葉が浮かびました。

「目に見えているのは現象に過ぎない。課題はその奥にある」

その時になかなか取り組むべき明確な課題が見つからないのは、顕在化している問題に目がいき、課題の深堀が出来ていなかったのではないかと思いました。

まずは問題というのは、現象客観的事実という風に捉えたいと思います。

例えば、渋滞というのは問題ですが、これ自体は車がたくさん集まり流動性が低くなっている状態という客観的事実や現象であり、これとは別に原因と課題があります。

渋滞の原因としては
・同じ時間に多くの人の移動が起こっている事
・信号などの交通量調整機能が最適化できていない事
・人気の目的地に行くための道が限定されている事

等、いくつも考えられます。

これらを解決するには、
・通勤の時間や店の開店時間を変更する
・信号機と交通量のデータを関連付け最適な運用を行う
・道路の拡張工事や新たな道の整備、交通機関等を増やして車両を減らす

等が考えられます。

では、課題はどうでしょうか?
課題は「問題によって引き起こされる困りごと」という風に考えたいと思います。

そうすると渋滞で困っているのではなく、渋滞によって
・予定に遅れてしまう事
・他の事に時間が割けず、時間を無駄にしてしまう事
・居眠りが増え、事故が起きやすくなる事
・イライラする事

等の課題が発生していることが分かります。

これに対して、
・渋滞を予知したスケジュールの設計
・渋滞時の運転アシストや自動運転
・眠気測定&アラート機能や社内で楽しめるコンテンツ

などのアプローチを考えることが出来ます。

原因にアプローチすべきか、課題にアプローチすべきかは場合によって、または誰が困っているのかによって変わると思いますが、傾向として原因にアプローチすると持続的なイノベーションになりやすく、課題にアプローチすると新たな視点で破壊的イノベーションになりやすいのではないかと考えました。

さらに上の例では自然と困っている主体が運転者になっていますが、近隣住民に変えて考えると
・近場への移動にも時間がかかる
・騒音に悩まされる(←実はこれも現象に近い)

など他の課題が見えてきます。

このように誰の、どんな課題(困りごと)に取り組むのかを詳細に考えていくことは新規事業を作ったり、真に価値のある製品やサービスを生むうえで非常に重要になってくると思います。

”誰の”が大切な理由

今やっている長期インターンでは中小企業の経営者向けのDXに関するセミナーを設計していました。

国内の中小企業におけるDXの進捗状況や経産省が出しているDX推進のためのレポートを見ながらセミナーの内容を固めていたのですが、

初期案を見てみると、すごく当たり前の内容が書いてあって面白くない、参加したいとまでは思えない内容が並んでいました。

ちゃんと努力はしたんです。ファクトやデータを集め、DXがなぜ進まないのかについては詳細に検討したつもりでした。

しかし、その時にフォーカスしていたのは「中小企業ではDXが進んでいない事」という問題でした。

これは客観的な事実であり、正しいのだけれどそれで誰が何に困っているのかまでは不明確でした。

だから中小企業の経営者が何を求めてこのセミナーに参加してくれるかも曖昧になってしまっていました。

闇雲にDXが進んでいない状態が悪く、みんな進めたいと思っている。

それくらいの粒度でコンテンツを考えていたから、参加者にとって魅力的な内容になっていなかったのです。

そこから中小企業の経営者はDXに関してどのようなときに、どんなことに困っているのだろうという風に考えるようになりました。

セミナーというHOWも一旦わきにおいて、とことん中小企業経営者の「どんな困りごと」を解決するセミナーなのかを考えてみる事にしました。

すると、彼らの中にはDXを進めたいと思っていない人も存在するし、DXをやりたい理由も、スタートできない理由もいくつも出てきました。

この時に初めてペルソナを作る意義に気づいたような感じもしました。

文脈と立場、業種や社内文化によって直面する問題が全然違うからです。

このように「誰」を明確にすることで、漠然とした社会全体の課題などに解を出そうとすることを避けることが出来ます。

驚いたことに、この世の中には誰の課題かはよくわかっていないけど取り組んだ方がいいような気がする問題がゴロゴロあります。

特に社会課題や環境課題はそうで、少子高齢化も地球温暖化も現象に過ぎないですがそれを解決しなければいけないかのように捉えられて、結局困っている人が明確に定義されていないので解決が先延ばしにされてきました。

しかし、ビジネスにおいて利益を上げるからにはその解決に対してお金を払ってくれる誰かが必要です。

そのためには誰をより明確にする必要があります。

まとめ

教訓として学んだことは、目の前に顕在化した現象や客観的事実という問題に振り回されずに、誰が何に困っているのかにこだわることが刺さるコンテンツや売れるサービスを作るには必要だという事。

そのためには問題を原因と課題に分解して、さらに課題は「誰の」という主語をつけて分解することで解像度を上げて考える必要があります。

今までは問題を掘り下げるの意味が本質的に理解できていなかったように思います。

課題の発見に画一的なものはないと思うので、これが正しいわけではありませんが、本質的に取り組むべき課題に近づく一つの思考アプローチにはなりえるのではないかと思います。

大学一年生の時にせっかく学んでいた重要な視点を失いかけていましたが、今このようなかたちで自分の中に落とし込むことが出来て良かったです。

とはいえ、まだまだ本質的な課題の発見には至っていないのでこれからもう一歩深ぼれるように頑張ります。

ということで、今日はここまで。

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