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八村塁のキャリアハイから読み解くクリッパーズディフェンス

カッコいいかは 分からないけど
抑えきれない 夢を見たんだ  by THE HIGH LOWS

どうも、先日マイケル・ジョーダンとバスケをする夢を見た、俺です。

MJというイニシャルで呼ばれる偉人は多い。俺のバスケ仲間のマイケル・ジョーダンを始め、マジック・ジョンソン、マイケル・ジャクソン、マイケル・ジョンソン、みうらじゅん

いずれ劣らぬ偉人達であるが、「神」と呼ばれたのはジョーダンだけである。当時ボストン・セルティックスのスーパースターだったラリー・バードが対戦相手のジョーダンを評してこう言ったのである。
「あれはマイケル・ジョーダンの姿をした〈神〉である」

バスケに関わる者は、皆一様に彼を仰ぎ見ていた。
彼の背番号「23」は特別な数字となり、誰もが彼のプレイスタイルに憧れた。

日本人としてNBAの舞台に立つ二人にとって、神様はどのような存在だったのだろうか。
若い彼らにとっては過去の人かも知れない。


時を遡ること2019年の12月1日、ロサンゼルス・クリッパーズとの試合で、八村塁がキャリアハイの30得点を記録。Twitterのトレンド入りもしてました30得点は凄いことだ。
状況にもよるが、バスケにおいては1試合で20点以上とれば攻撃面で大きく貢献したと言える。
30点以上取るのは大体各チームのエース級の選手である。
この日、八村所属のワシントン・ウィザーズは125vs150でクリッパーズに大敗したが、八村が125点中30点を取った訳で、チーム総得点のおよそ4分の1を彼がとったことになる。
ウィザーズのエース、B・ビールが23得点だったので、八村がチームで最も点を取ったのである

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30点が凄いとは言ったが、八村ならこれくらいはいずれやるだろうと思っていた。シーズン開始から彼を観ていた日本のNBAファンなら皆そう思っていた筈である。
実際、30点という数字はオールスター級の選手ならばすぐに届く数字だし、レブロン・ジェームズ級のスーパースターなら、もはや当たり前というくらいの数字である。
オレのバスケ仲間であるマイケル・ジョーダンのキャリアハイが63点で、キャリア通算平均が30.12点で歴代No.1。彼くらいになると平均が30点となる。ちなみに現役最強、キングオブNBAのレブロン・ジェームズ(34)のキャリアハイは61点。通算平均は今のところ27.2点

そして、ジョーダンが自分の後継として唯一認めた男コービー・ブライアント。彼のキャリアハイが驚きの81点。通算平均は25点。

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コービーは38歳で引退したが、そのラストゲームで61点を叩き出す偉業を成し、チームも大逆転勝利を収めています。

俺の友達のジョーダンは神様という事で別格としても、コービーやレブロンはもはやバケモノの領域なのです。

さて、八村の30得点が霞むようなスター選手達を書き連ねましたが、忘れちゃいけないのは彼がルーキーであるという事です。

30得点

八村ならこれくらいはやれると思っていたのに、なぜ僕がこれほど熱く語っているのか。
それはクリッパーズ相手にそれをやったからである。

ロサンゼルス・クリッパーズ
今季、優勝候補の一つとして数えられるチームであり、人によってはその筆頭として挙げられるほどのチームだ。僕個人としても優勝候補の最有力だと思っている。
実は、昨シーズンと大きくメンバーが変わっていて、オフシーズンに起きた電撃トレードによって、今季スーパースターを2人獲得したのである。
元スパーズの大エースで、昨季トロント・ラプターズへ移籍後すぐに優勝へと導く原動力となったフォワードのカワイ・レナード。

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もう1人は元インディアナ・ペイサーズのエースで昨季までの2シーズンをオクラホマシティ・サンダーで中心選手として活躍したこちらもフォワードのポール・ジョージである。

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参考までに、2人の現時点でのキャリアハイが、カワイ45点、ポール48点である。
前述の怪物たちと比べると見劣りする数字であるが、彼らも60点取るくらいの実力は充分に持っている選手である。

バスケットボールはひたすら点を取り合うゲームであり、1試合で100点以上を奪い合うスポーツである。
矛と盾。攻撃と防御。
そのどちらに重きを置くか。

M・ジョーダン、K・ブライアント、L・ジェームズ、この3人はNBAにおけるそれぞれの時代の代表的なオールラウンドプレーヤーであり、オフェンスとディフェンスの双方で一流の技量を持っている。
NBAの個人記録(スタッツ)で一般的に知られているのは、攻撃面の記録に偏りがちだが、実はこの3人は、スタッツに表れにくいディフェンス巧者でもある。NBA全選手の内の優れたディフェンダーから、1シーズン10人ずつ選出されるオールディフェンシブチームに何度も選ばれているのだ。
レブロンが現在16シーズンで6回選出、コービーが20シーズンのうち12回、ジョーダンが15シーズンのうち9回である。
この3人は攻守において超一流なのである。

そこでクリッパーズの2人である。

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もう大体の察しはつくであろう。
そう、カワイ・レナード(28)とポール・ジョージ(29)はディフェンス巧者としてリーグでも屈指のプレーヤーなのである。
共にオールディフェンシブチームにも選出され、カワイはすでに5回、ポールは4回。カワイに至っては最優秀守備選手賞も2回取っている。
クリッパーズには他にも1人、オールディフェンシブチームに2回選出されている選手がいて、

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このPGポイントガードのパトリック・ビバリーを含めたディフェンスのスペシャリスト3人がスターティングメンバーとして存在しているのである。ちなみにオールディフェンシブチームには選出されていないものの、ポジション的に八村とマッチアップする機会も多かった主力PF(パワーフォワード)のモントレズ・ハレルも近年ディフェンス巧者として名を上げている。

クリッパーズはこの個々のディフェンス能力の高さから、当然チーム全体のディフェンス力も非常に高く、それが、このチームが優勝最有力候補と言われるゆえんである。

八村が活躍できたわけ

30点取ったのは八村の実力もあるが、この時のウィザーズはケガ人も多く、エースのB・ビール1人に頼り切りの状態であり、必然的に期待の新人の八村にボールが回って来る事も多い。チームオフェンスとして、八村の為に作られたオフェンスセットで攻めて行くパターンも数多い。だからこそ30点取れた訳であるが、ルーキーでその期待に大いに応える八村の勝負強さは、チームにとってもエースのビールにとっても頼もしいものだろう。

八村はルーキーである。当然、各チームは彼と初対戦になる。加えて、今季のウィザーズはケガ人続出のせいもあって、弱小チームに成り果てている。それ故に八村の出場時間と活躍が多くなったのだが、12/1の試合はウィザーズ相手にクリッパーズは終始リードを奪いつつ、時に大量リードの20点以上の差をつけて試合を進めていたのである。エースのB・ビールを抑え込んでいたその状況で、それ以上に強く八村に当たる事は無かったろう。
クリッパーズのディフェンスの名手達はまだその実力の全てを出し切っていない。
そういう状況であった事を差し引いても、これは凄いことだし、八村が早い段階で30得点という大台を経験出来たのは、彼の実力が本物である事を証明し、さらに先まで伸びて行く可能性を秘めている事を明らかにしたのである。


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